ひげを伸ばす、その理由 連載・霹靂の日々【42】大島一樹

西日本新聞 くらし面

 私、親戚の子どもからは「ひげのおじちゃん」と呼ばれますが、ひげを伸ばしたのは人生で2度目です。初めは20代のころ。何となく「伸ばしてみようかな」と思って鼻ひげだけを少々。

 その頃の私の写真を見たオクサンの感想は一言「ジジくさっ」。もともとひげは大嫌いだったらしく、その後も私が「伸ばそうかな?」と言うと、「絶対やめて!」と信じられないものを見るような表情でした。

 そこまでこだわっていたわけじゃなく、ひげが濃い方でもなかったので、たまにそり忘れて少し無精ひげになる程度で、オクサンの希望通り、伸ばしはしませんでした。

 オクサンが倒れて1年半程度たった頃だったでしょう、そんなオクサンのひげ嫌いを思い出しました。また毎朝そるのが面倒くさい時期でもありました。

 「ひげを伸ばしたら、早くそれって言われる?」「そって!ってきつく言われるかな?」と素朴な疑問。もし話せるようになったらそう言われたい-、そんな気持ち。いわば願掛けの一種なのかもしれません。また尊敬するアップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏の風貌に少し憧れもありました。

 取引先のある方からは「やめんね」と少し引かれましたが、そんな思いが出て以来「願掛け」と称してひげは伸ばしています。「気持ち悪かけん、ハヨそって!」。そうオクサンにきつく言われる時まで。(音楽プロデューサー、佐賀県みやき町)

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