「車椅子の横に立つ人」荒井裕樹著

西日本新聞 梅本 邦明

 「障害があるから大変だ、みたいな書き方はしないでくださいね」。2016年、筋肉や腱(けん)が骨化する難病の女性を取材したとき、こう言われドキッとした。女性が言うような記事を書こうとしたわけではないが、病状や困り事を詳しく聞こうとした矢先だった。

 本書は障害者が経験する「生きにくさ」の問題を探る。障害のある人たちは多種多様な背景があるのに、社会はある種のイメージの枠に押し込んで理解しようとしていないか-と著者は指摘する。読みながら冒頭の体験を思い出した。

 著者は、仮に目の前に車椅子に乗った障害者と、その横に立つ人がいたとすると、この「車椅子の横に立つ人」はどういう人物だろう? と問いかける。

 答えを頭に浮かべながら読み進めると、想像力の狭さに気付かされた。障害者との共生を考える上で、視野を広げてくれる一冊。(梅本邦明)

 「車椅子の横に立つ人」荒井裕樹著(青土社・1980円)

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