トランプ氏、再選に荒業 米最高裁判事に保守派指名 民主は手詰まり

西日本新聞 国際面総合面 田中 伸幸

 【ハリスバーグ田中伸幸】トランプ米大統領が最高裁判事に指名した保守派の連邦高裁判事バレット氏は、与党共和党が多数派を占める上院の承認を経て、米大統領選前にも就任する見通しだ。最高裁の保守色がさらに強まるのは確実で、大統領選を控えるトランプ氏には追い風となる。一方、野党民主党はリベラル色の濃い政策が長期的に司法からブレーキをかけられかねない状況に危機感を強めている。

 トランプ氏は26日夕、ホワイトハウスでバレット氏指名を発表した後、激戦州の東部ペンシルベニア州ハリスバーグ近郊の空港に飛び、選挙集会を開いた。支持者に指名を報告すると「(判事の)空席を補充しよう」と大歓声が上がった。

 一方、ハリスバーグ中心部では同日昼、激戦州でトランプ氏の再選阻止を訴える市民団体が集会を開催。30代の黒人女性は保守派の判事指名について「保守とリベラルのバランスを大きく崩す人事は許せない」と憤った。

 最高裁判事は終身制のため、バレット氏が就任すれば保守色の強い判事構成の長期化は必至だ。仮に大統領選でバイデン前副大統領が勝利して民主党政権が誕生し、リベラル色の強い政策を打ち出しても、共和党側が違憲訴訟を起こして最高裁の判断に委ねられる展開となれば政策を覆される可能性が高まる。

 11月には民主党オバマ前大統領が導入し、トランプ氏が撤廃を訴える「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度を巡る憲法判断が最高裁で示される予定。大統領選でトランプ氏とバイデン氏の勝敗がもつれた場合、最高裁の判断に委ねられる可能性もある。世論を二分する人工妊娠中絶を認めた1973年の判決が見直される事態も想定される。

 保守派判事の中からリベラル派に同調する動きが出ることもあるが、仮に1人が「離反」しても保守派がなお多数を占めるだけに、リベラル層の受け止めは深刻だ。

 民主党は10月中旬にも予定されるバレット氏承認に絡む公聴会で、副大統領候補のハリス上院議員らを中心にバレット氏の姿勢を厳しく問いただす見通し。だが、上院の多数は共和党に握られており、承認阻止は事実上、難しい。

 こうした中、民主党側からはバイデン氏が勝利した場合「最高裁判事の定員を増やし、リベラル派を複数指名すべきだ」との意見が上がる。ただ、バイデン氏が選挙前に定員増を主張すれば保守層の反発を招き、トランプ氏の得票増につながりかねない。トランプ氏の弾劾訴追を再び求める声もあるものの、支持は広がっておらず「承認阻止の対抗策はない」(米メディア)のが実情だ。

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