玖珠川の改修策決まらず 景観、泉源保全へ難題…豪雨被災の天ケ瀬

西日本新聞 大分・日田玖珠版 中山 雄介

 7月の記録的豪雨で甚大な被害を受けた大分県日田市天瀬町で、天ケ瀬温泉街を貫く玖珠川の改修方策が定まらない。県や市は、元通りにする「災害復旧」では再び被災する恐れがあるとみて、流下能力を向上させる「改良復旧」を視野に入れる。ただ方策によっては、温泉街が売りにしている風情ある景観を損なう可能性もある。どの程度の改良が必要か-。関係者は頭を悩ませている。

 玖珠川を管理する県河川課によると、温泉街には道路から約2メートルの高さまで浸水した跡が残っていた。ただ天瀬橋に設置した水位計は豪雨で流失し、当日の最大流量は不明。

 流下能力を高める改修方策には、主に拡幅、堤防設置、川底掘削がある。しかしどれも難題を抱える。

 両岸とも川岸まで旅館やホテルが迫る温泉街。拡幅でも、堤防設置でも、移転や取り壊しを求められることも想定され、客が楽しみにしている河畔の景観が保てない可能性がある。

 川底掘削は川底の泉源がネック。掘削して湧出量などに異常が出れば、宿泊施設にとって死活問題。河川敷近くの露天風呂も使えなくなるかもしれない。市は掘削に踏み切る場合、別の場所に共同泉源を設けることも検討しているという。

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 県の担当者は「改修方策の決定には、地元関係者との合意が欠かせない」と話す。さらに県や市は、温泉街一帯だけの改修では限界があり、玖珠川から筑後川まで流域全域での治水対策の必要性を訴える。

 24日には、市など筑後川流域4県23市町村と国の関係者が流域の治水対策を見直す初会合が開かれた。本年度中に防災・減災策をまとめる方針だが、新たな治水対策が実行力を持つにはさらに時間がかかる。

 天ケ瀬温泉街で浸水被害を受けた家屋は民家を含め125軒。温泉組合加盟の旅館・ホテルも半数の7軒が今も休業している。

 市は災害復旧は順次進めながら、「改良復旧」の長期化を見越し、被災した中小事業者を支援する国の「なりわい再建補助金」(新グループ補助金)を活用するなど「可能なところから復興を」(原田啓介市長)と呼び掛ける。しかし、温泉街の被災者からは「今の場所で再開できるのかを判断するためにも、とにかく情報がほしい」と悲痛な声が漏れている。

(中山雄介)

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