目指せ「フットボールの北九州」 ギラヴァンツ、ボルクバレット快進撃

西日本新聞 北九州版 壇 知里

 北九州市で今、フットボールが熱い。サッカーJ2リーグで2位のギラヴァンツ北九州だけでなく、プロフットサルチームのボルクバレット北九州も今季から国内トップのFリーグ1部に昇格し、9月にリーグが開幕した。チームを急成長させた両チームの監督はくしくも同じ思いを抱いている。「強いチームとして続くためにも、競技を地域に根付かせたい」。長期的な目線で組織作りを行い、「フットボールの北九州」を目指して奮闘している。

共通のチーム像

 ギラヴァンツ北九州を指導するのは、J1昇格を4度導いた実績から「昇格請負人」と呼ばれる小林伸二監督(60)だ。チームが2018年にJ3最下位と最低記録に沈んだ後に就任し、1年目でJ3優勝とJ2昇格を果たした。今季はリーグ前半を首位で折り返し、チーム初のJ1昇格へ期待がかかる。

 ボルクバレット北九州は、世界最高峰のスペイン1部リーグで5年間コーチを務めた馬場源徳監督(38)が率いる。当時の代表の誘いで社会人チームだった16年に就任、18年にプロのFリーグ2部加入を実現し、2年で国内トップの1部へ昇格させた。現在は5年以内の1部優勝という頂点を目指す。

 両監督が描くチーム像は共通して「最初から最後までハードワーク」。格上相手にも前線から強いプレスをかけ、負け試合でも最後まで走り続ける。活発に動き回る姿に心打たれ、ファンやスポンサーが徐々に増えるなど、新型コロナウイルス禍ながら経営面にも追い風が吹く。

「名将」就任の訳

 元々、両チームの実力は決して高いとはいえなかったという。なぜトップチームから依頼がくるほどの「名将」が就任を引き受けたのか。

 小林監督は、工業地帯として発展してきた北九州は「熱い方が多い印象で、(自分が求める)アグレッシブなサッカーが根付く地域だと思った」と話す。

 「できあがっているチームに結果を出させるより、プロでもない地域のチームを一から育て上げた方がおもしろい」と馬場監督。小中高生が所属する下部組織も含め「母体となる組織そのものを大きくして上に連れていく。強いチームがいる地域にはフットサルの文化と熱量がある」と話す。

 小林監督も組織作りを通した人材育成を重視する。監督就任の条件として、子どもたちが所属する育成・普及チームを含めた「スポーツダイレクター」の兼任を求めた。「育成にいた子どもがいずれ地元でプロになる。人材育成の環境をつくることはチームを強くする上でとても大事だ」と説く。

改革、周囲に変化

 組織全体の改革を実行する監督たち。運営側も変化を感じ、「北九州と言えばフットボールで盛り上げたい」と意気込んでいる。

 ギラヴァンツ北九州の玉井行人社長(63)は「今まで声をかけても来なかった選手が来るようになった」。ボルクバレット北九州の中村恭輔社長(36)も「今まではスポンサー依頼に行っても追い返されていたが、最近は企業側から連絡が来るようになった」と手応えを話す。子どもたちにフットサルを普及する協定を福智町と結ぶなど最近は行政も目を向けてくれているという。

 馬場監督は、今後も強いチームとして存在し続けるには「地域の熱量や運営資金など総合力が必要」と指摘する。両監督は運営にも密接に関わりながら、地域とともに盛り上げるフットボールを目指している。

(壇知里)

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