次の臨時国会 早期召集し首相の言葉を

西日本新聞 オピニオン面

 菅義偉政権が発足して初の本格的な論戦の舞台となる次の臨時国会について、自民党は野党第1党の立憲民主党に「召集は10月20日以降」との見通しを伝えた。政府と与党は来月23日か26日の召集で調整している。

 なぜ、そんなに遅くなるのか。素朴な疑問を禁じ得ない。もっと早く召集し、会期も十分確保した上で、いまだに行われていない菅首相の所信表明演説と与野党の代表質問を皮切りに国会論戦を繰り広げるべきだ。

 安倍晋三前首相が持病の悪化で辞意を表明したのは1カ月前の8月28日だった。自民党総裁選で菅氏が新総裁に選出されたのは今月14日で、16日召集の臨時国会で首相に指名され、同日中に新内閣も誕生した。

 ただし、この臨時国会は実質的に首相指名選挙を実施しただけで18日に閉会している。

 そもそも首相が交代して新内閣が発足したというのに、新首相が衆参両院で政権運営の基本方針や重点政策を国会と国民に説明する所信表明すらお預けになっている今の状態は不自然と言わざるを得ない。

 「政治空白は許されない」という理由で総裁選の党員・党友投票を省いてまでスピードにこだわり、新首相選出を急いだのは自民党ではなかったか。

 もし総裁選や記者会見で何度も説明したから国会演説は後回しでも構わない-という腹づもりなら、国会軽視も甚だしい。

 臨時国会が来月20日以降の召集となれば、安倍前首相の辞意表明から約2カ月後となる。先の通常国会が会期を延長せず閉会した6月17日から、実に4カ月以上も言論の府といわれる国会が事実上「沈黙」していることになる。これこそ憂慮すべき「政治空白」ではないのか。

 しかも新型コロナウイルスの事態収束が見通せないまま、感染拡大を防ぎながら経済や社会を動かそうと各分野で懸命の試行錯誤が続く。国会が安閑としている場合ではないはずだ。

 自民党と立憲民主党は衆参両院の内閣委員会で新型コロナ対策の閉会中審査を行うことや、安倍前政権時代に設置された政府・与野党連絡協議会を継続することで合意した。

 閉会中でも国政を停滞させない姿勢は歓迎するが、臨時国会を急いで開く必要はないという口実にしてはならない。

 デジタル庁設置や携帯電話の料金引き下げ、不妊治療への助成など個別の政策調整が動き始めている。菅政権はどんな全体構想の下で具体的にどの政策課題に優先して取り組むのか。早く国会を開き、首相自身の言葉で丁寧に説明してほしい。

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