GoTo巡り温度差「小規模分散型」提言も…政府は公平性重視

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」で東京都発着分の旅行が10月1日から追加されるのを前に、新型コロナウイルス対策の専門家から、GoTo事業の仕組み変更を求める声が上がっている。利用が休日などに集中しないように工夫し、感染拡大リスクを抑える「小規模分散型旅行」がそのアイデア。だが、政府側はいまのところ、公平性を理由に応じない姿勢だ。

 小規模分散型は、大人数での団体旅行や連休など混雑期の集中移動をできるだけ避けようというもの。いま以上に休日よりも平日の宿泊料を安くするなどし、家族単位や密集が起こりにくい場所の旅行に誘導していく。

 新型コロナ対策を助言する政府の分科会メンバーが9月11日、提言していた。尾身茂会長は、25日の記者会見で「まだ実現には至っていない。もう一歩、強力なインセンティブ(動機づけ)を与えていただきたい」と踏み込み、政府に行動を促した。

 専門家が危機感を強める背景には、9月19~22日の4連休に想定を大幅に上回る人の移動が起きたことがある。GoTo事業の後押しもあり、全国の行楽地や観光スポットは人波であふれ、20日の宿泊施設の稼働率は東北や関西で100%に迫る盛況ぶりだった。

 10月にはGoTo事業が全面解禁となる。「混雑すればするほど『密』が発生し、感染リスクが高まる」(尾身氏)として、分科会は小規模分散型の訴えを強化。委員からは「平日だけをGoToの対象にするとか、制度設計を変えることも選択肢の一つだ」(小林慶一郎氏)との具体案も出始めた。

 政府側は慎重だ。GoTo事業は、新型コロナの直撃を受けた観光業界や事業者を下支えし、社会経済活動の回復につなげるのが主目的。その利用のピークを平準化する見直しについても、キャンセル料の発生や利用者間の平等確保といった観点から一筋縄ではいかないとする。

 もっとも、4連休中の新規感染者数などの実態はこれから明らかになってくるため、専門家と同様、再び感染拡大に向かわないか不安視する向きもある。西村康稔経済再生担当相は、28日の会見で「(小規模分散型旅行は)分科会からのいわば『宿題』。政府全体で制度面も含めて検討しないといけない」。分科会との見解の相違をたびたび指摘されてきた経緯もあり、その主張に意を用いているとの態度を見せた。 (河合仁志)

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