「誠実さ感じた」拉致被害者家族、新政権へ交錯する焦りと期待

西日本新聞 総合面 前田 倫之

 菅義偉首相は29日、北朝鮮による拉致被害者家族と就任後初めて官邸で面会。「自らが先頭に立ってあらゆるチャンスを逃すことなく、活路を開いていきたい」と伝え、被害者の早期帰国に向けて北朝鮮との交渉に全力で取り組む決意を示した。高齢化が進む家族は、事態が進展しない焦りと新政権への期待を交錯させた。

 「何十年たっても子どもたちの姿が見えない。苦しい毎日が続いている」。拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さん(84)は訴え、首相はうなずいた。

 面会には、田口八重子さん=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(82)たちが同席。飯塚さんは「安倍(晋三)前政権に期待したが、具体的な動きが見られず残念。(新政権は)心機一転のチャンスだ」と話し、首相は「いまだに多くの被害者の方が北朝鮮に取り残されたままであることを大変申し訳なく思う」と陳謝した。

 面会後、家族は記者会見した。1978年に鹿児島県日置市の吹上浜から拉致された増元るみ子さん=同(24)=の弟照明さん(64)は「首相の誠実さを感じた。(北朝鮮の)返事を待つのではなく、積極的な攻めの姿勢を見せてほしい」。熊本市出身の松木薫さん=同(26)=の姉斉藤文代さん(75)は「家族に会いたい、普通に戻りたい。ただそれだけなんです。私の気持ちは」と声を振り絞った。 (前田倫之)

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