“姫島ブランド”サワラ堪能 さばくコツは?記者が挑戦

西日本新聞 もっと九州面 竹森 太一

 玄界灘の新鮮な海の幸がそろう福岡県糸島市。これから寒くなると、離島の姫島は、脂が乗って旬を迎えるサワラの水揚げで忙しい時期を迎える。そんなタイミングを見計らい、糸島出身の料理研究家として活躍中の佐藤彰子さん(34)が、姫島でサワラを使う「魚のさばき方教室」を開く情報が届いた。岐志漁港から市営渡船で16分、初秋の海風を感じながら島へ向かった。

 姫島は芥屋・福ノ浦の沖3・5キロ、周囲3・8キロの小さな島。漁業が盛んで46世帯約140人が暮らす。

 漁師たちは、漁船の左右に出した太い2本のさおを使う一本釣りで、サンマや疑似餌でサワラを狙う。糸島漁協は11月からの旬の時期に限り、一本釣りした2・5キロ以上のサワラを釣ってすぐに生き絞めし、海水氷で約6時間冷却する高鮮度処理したものを「特鮮本鰆(ほんざわら)」ブランドで出荷している。

 佐藤さんの祖父も姫島の漁師だった。糸島半島側で育った佐藤さんは幼少期から魚が身近な環境で過ごしたという。大学卒業後、福岡市内のクッキングスクールで講師を6年間務め、退職後は魚のさばき方や魚料理を中心とした料理教室「IZUMI」を主宰。「子どもの食育」「魚食普及」に力を注いでいる。

 姫島での料理教室も4年前から、暖かい時期に月1回ペースで開催。今年はコロナ禍で自粛していたが、9月中旬の2日間、定員を少なめに生徒を募り、私が参加した日は親子連れなど5グループが3キロ級のサワラと格闘した。

    ◆   ◆

 まず、佐藤さんが内臓を取り出すまでを実演してくれた。エラの部分を持ち上げ、腹から肛門まで包丁を入れる。「口の歯が鋭いので気を付けて。しっかりおなかを開いた後、2カ所のエラの付け根を切った方が取りやすいです」

 糸島支局に着任し、釣った魚を我流でさばくようになったが、プロの包丁さばきを身近に見るのは初めて。要所を押さえた説明が分かりやすい。「途方に暮れてます…」。生徒の一人、大きな魚をさばくのは初めてという糸島市地域おこし協力隊員の藤瀬美由紀さんが助けを求めると、横に並んで手を差し伸べる。

 血を洗い流し、水をしっかりと拭き三枚おろしへ。胸びれと腹びれを頭側に残して「鎌型」となるように両側から包丁を入れる。

 「太い中骨を切るときは、軟骨で柔らかい節の白っぽい線を狙って」「三枚おろしは頭が右で腹、背、背、腹の順番で包丁を入れるとスムーズです」。佐藤さんの実演をまねて包丁を扱うと、これまでで一番きれいにできた。コツは包丁さばきはゆっくりでも、魚を丁寧に大切に扱うことのようだ。

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 佐藤さんがさばいたサワラは「刺し身の炙(あぶ)り」で試食用に。事前に用意してくれていたのが、姫島の郷土料理の「鰆ご飯」と「具そうめん」。子どもたちを含む生徒全員でにぎやかに食卓を囲み、おいしく頂いた。

 島で日常的に食べられている具そうめんは、もともとはお盆の精霊流しの後に、海で冷えた体が暖まり、夜中の腹ごしらえになるように作られていたという。

 「一人でも多くの人に姫島の良さや魚のおいしさを知ってもらえたら、お世話になった方々に恩返しできたらという気持ちで姫島料理教室を始めました」と佐藤さん。その他の教室でも「料理って楽しい! 家族に作ってみよう!」と思ってもらえるように、旬の食材で家庭でも作りやすい献立を考え、生産者の思いやこだわりを伝えることを大事にしているという。

 漁港に総出で、サワラの出荷に励む漁師たちの活気にも触れた今回の姫島訪問。佐藤さんの狙い通り、私も姫島ファンになった。 (竹森太一)

11月7日からフェア 創作料理も提供

 御膳試食参加者募集 糸島漁協などは11月7日から12月6日まで「糸島さわらフェア」を開催。漁協直売所・志摩の四季に「特鮮本鰆」が並び、糸島市内の飲食店などでは特鮮本鰆の創作料理を提供。11月8日午後6時から、同市前原中央3丁目の「古材の森」でキックオフイベント。「本鰆御膳」を楽しめるほか、佐藤彰子さんのサワラさばき実演、漁師や漁協担当者のトークも。地元の水産加工会社「やますえ」の地魚商品のお土産付き。参加費5000円、定員25人。詳しくは糸島漁協=092(328)2311。

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