あの日、何を報じたか1945/10/2【あり余る電力を活かそう 家庭に一寸の工夫で「電気製塩」】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈終戦に伴う軍需生産の廃止、転換によって先頃まで不足不足であった電力は今、あり余っている。この電力を農村に利用すれば飛躍的な増産が期せられ、都市の家庭に利用すれば文化的な明朗な生活が得られるというので、九州地方総監府では先般来、このもったいない余剰電力の利用方法の研究具体化を図りつつあるが、これについて同総監府電力室黒田副参事官に訊く〉

 電力が余る-。終戦前には決してなかった状況が、戦後ひと月半を経て生まれていた。副参事官は「農村」と「家庭」の状況について活用法を例示している。

 農村については〈油が豊富にあれば油を用いた農村機械化もできるが、今後とも油が農村に潤沢に出回るとはどうしても考えられない〉として、電力の活用を検討しているという。

 副参事官によると、従前も電力は排水用のポンプや脱穀機、ガを集めるための電灯などに使われていたという。その上で〈電力耕運機によって耕作および開墾するとか、(中略)甘藷、馬鈴薯などの切削〉などの活用例を挙げている。

 家庭については、まず電気器具の普及が急務と指摘。〈設備は隣組で共同にするのも一策で配給の豆腐や魚などは一緒に冷蔵庫に保存しておけば衛生保健の上からも理想的だし、主食の米だけは毎朝共同で大きな電気釜を利用するとか、使用日を決めて洗濯機を用いるなどは費用の軽減からも主婦の手数が省ける点からも合理的だ〉と、後年の「三種の神器」を思わせる話をしている。

 一方、副参事官は戦中から続いていた塩不足に対する「電気製塩」も提案。まず木箱やたるなどの容器の両側に「カーボン」か木炭で電極をつけ、海水を入れて電流を通す、というもので、図解も付いていた。(福間慎一)

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 〈〉の部分は当時の記事から引用。できるだけ原文のまま掲載。

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