大崎事件 裁判官同席で現場再現へ 鹿児島地裁が容認

 鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった大崎事件の第4次再審請求審で、「事件当時の現場」が月内にも現地で再現される。正式な検証手続きではないが、裁判官と検察官の立ち会いの下、弁護団が再現することを鹿児島地裁が認めた。弁護団は「現場に立てば、被害者が殺されたのではなく事故死だったことが明白になる」と主張。審理の行方を左右するヤマ場になる可能性もある。

 事件は79年10月12日に発生。確定判決によると、被害者は酒に酔い、自宅から1・5キロ地点で自転車ごと側溝に転落した。路上に倒れていた被害者を近隣住民2人が軽トラックで自宅に搬送。その後、自宅の土間に座り込む被害者を殺害したなどとして義姉の原口アヤ子さん(93)と当時の夫ら3人の有罪が確定した。

 「現場再現」を通じ弁護団が狙うのは、被害者の死亡は側溝(深さ約1メートル)に転落した事故の影響だったとする立証だ。再現は大崎町の側溝転落現場で実施。(1)泥酔のため自力で立てない被害者を2人で抱え、放り込むように荷台に乗せた(2)気合を入れるつもりで右頬を数発殴った-などとしていた当時の2人の供述通り、倒れた被害者役を軽トラの荷台に乗せ、自宅へ運ぶまでの救助の流れをたどる。

 現場には弁護側の医学鑑定を書いた埼玉医科大高度救命救急センター長の澤野誠医師も同行。供述通りの救助方法が被害者に与えた影響を医学的に説明してもらう。澤野医師は地裁に提出済みの鑑定書で「法医解剖時の資料からは、被害者が転落事故のため頭部が後方に反り、頸髄(けいずい)損傷で動けない状態だったことは確実。この場合、頸部を固定する『頸椎保護』をして運ばないと、呼吸不全などが進み生命に危険が及ぶ」と指摘している。

 一方、検察側の説明は「(被害者は)酔いつぶれて溝に落ちているのを発見され、連絡を受けた2人に無事自宅に届けられた。前後不覚で着衣もぬれていたため(2人は)土間に置いて帰った」(79年12月の一審冒頭陳述)。路上に倒れていたのは「泥酔のため」という主張を確定判決も認めている。

 今回、弁護側は地裁による検証を求めたが、検察側は「必要性を認めない」と主張。地裁は「検証ではなく、現地で進行協議を開き裁判官も立ち会う」と決めた。裁判官の現場訪問は第1次再審請求時の96年以来となる。 (編集委員・中島邦之)

関連記事

鹿児島県の天気予報

PR

PR