景気先行き不透明 政府の底上げ、企業は悲観的 日銀9月短観

西日本新聞 総合面 下村 ゆかり

 日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感がとりあえず足元で底を打ったことを示した。だが生産や消費が本格的に回復するかは新型コロナウイルス感染症の収束次第。現状も日銀の金融政策や政府の財政出動が支える「上げ底」回復の側面が強く、景気の先行きに企業の悲観的な見方は根強い。

 「外国人観光客も修学旅行生も戻ってこない。土産物店には致命的だ」

 東京・浅草の浅草商店連合会理事長で、浅草寺前の仲見世通りで土産店を営む稲葉和保社長は嘆く。コロナ禍で4~5月は休業。6月に再開したが9月までの売り上げは前年同期の4%に満たないと言い、雇用調整助成金や緊急融資制度の活用で当座をしのぐ。

 企業の肌感覚が反映される景況感は今回、業種による濃淡も大きかった。ただ、短観で各企業に本年度の売上高や経常利益の見通しを聞いたところ、全業種が前回の6月調査よりも悪化していた。業績見通しの厳しさは広範囲に及び、むしろ強まっている。

 売り上げだけではない。JR西日本は8月、JR金沢駅(金沢市)そばのホテル開発を凍結した。2015年の北陸新幹線延伸開業以降、観光客が急増した金沢市はホテル開発ラッシュだったが「今は新幹線開通前より悪い」(金沢市観光協会の八田誠専務理事)。短観でも大企業の本年度の設備投資計画は製造業、非製造業ともに前回調査より悪化した。

 一方、今回の短観では大企業、中小企業ともに資金繰りについては楽だと感じる企業が多かった。政府や日銀の対応により、苦境に陥った企業が一定程度は救済されていることをうかがわせる。全産業の雇用人員判断でも、人手不足と答える企業の方が多く、過剰感は顕在化していない。

 ただ、政府の消費喚起策「Go To キャンペーン」を含め、企業支援の財政投入はいずれ限界が来る。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「延命策だけでは企業はいずれ債務超過に陥る。政府には、デジタル化を進めるなど社会の構造変化に対応した中長期的な取り組みへの支援が求められる」と話す。 (下村ゆかり)

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