コロナ禍の非日常テーマに 障害者アート集団が基山町で企画展

西日本新聞 佐賀版 星野 楽

 障害者アート集団として知られる佐賀県基山町の障害福祉サービス事業所「PICFA(ピクファ)」が3日から、企画展「PICFA EXHIBITION3 そこにある日常」を同町の酒造会社「基山商店」の酒蔵ギャラリー「基肄(きい)」で開く。コロナ禍の日常と非日常をテーマに、通所者が自粛生活中につづった絵日記や新作絵画などを展示販売する。会期は11日まで。

 PICFAは知的障害や精神疾患がある16人が、絵画や商品デザインで収入を得る施設。県内外でライブペイントや企画展を開き、通所者が社会とつながる機会をつくってきた。

 ところが、新型コロナウイルスの感染拡大でイベントの中止や延期が相次ぎ、緊急事態宣言を受けて10人が在宅ワークに切り替えた。環境の変化に敏感な通所者もいる中、生活リズムを保ちつつ創作を続けてもらおうと、施設は10人に絵日記の宿題を出した。

 精神障害のある藤瀬翔子さん(27)は4月下旬から約1カ月間、佐賀市の自宅にこもった。電車移動の精神的負担がなくなり「最初は楽しかった」が、施設スタッフや仲間と会えない日が続き「不安になって落ち込む日が増えた」という。

 心の支えになったのは、毎日1ページの絵日記だった。「久しぶりに外に出て犬の散歩をした」「自由にお絵かきするのは楽しい」。何げない日常の一こまをイラストと一緒につづった。「絵日記には正直な感情を書ける。頭も整理できて気持ちが楽になった」と振り返る。

 新たな作風を見いだした人もいる。精神障害がある松永真奈さん(25)は風景画が得意だが、絵日記で人物デッサンに初挑戦した。自宅にあった画集を参考に、筋肉の動きや肌の質感の描き方を独学。裸体の女性を表現した作品を描き上げ、スタッフを驚かせた。「毎日続けるのは大変だったが、新しい作風を学べて自信が付いた」という。

 企画展には画板に貼ったアルミ箔(はく)にスプレーでサッカー選手を表現した作品や、台湾北部の街・九〓(「にんべん」に「分」)(きゅうふん)の夕暮れをアクリル絵の具などで描いた絵画など200点以上を出品。通所者がラベルデザインを手がけた日本酒や、ペイントを施した神埼市の家具メーカー「東馬(とうま)」のソファやテーブルも販売する。原田啓之施設長(46)は「コロナ禍の非日常性を楽しむイベントを作りたかった。常識にとらわれない構図や色、筆遣いの細やかさに注目してほしい」と話す。開場時間は午前11時~午後8時(最終日は午後5時まで)。入場料500円。PICFA=0942(92)2650。

(星野楽)

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ