公費負担9650万円波紋 最高額に賛否交錯 17日の中曽根元首相合同葬

西日本新聞 総合面 一ノ宮 史成 郷 達也 川口 安子

 内閣と自民党による故中曽根康弘元首相の合同葬を巡り、費用が妥当かどうかの議論が起きている。総額2億円弱の半分は公費負担。政府が「新型コロナウイルス対策に万全を期すための必要最小限の経費」と説明する一方、インターネットの書き込みには高額批判が相次ぎ、野党からも疑問の声が上がる。

「国民葬に値」「無駄遣い」

 昨年11月に死去した中曽根氏の合同葬は3月に開く予定だったがコロナ禍で延期。9月に今月17日の開催が決まった。会場は東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪。2004年に開かれた鈴木善幸元首相の合同葬でも使われた。

 内閣府の合同葬準備室によると、費用は約1億9300万円で政府と自民党が折半する。政府は約9650万円を本年度当初予算の予備費から支出する。葬儀委員長は菅義偉首相が務め、当日は首相のほか友人代表として読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役主筆らが追悼の辞を述べ、参列者が献花する。

 当初の参列者は約4千人を予定したが、感染防止のため約1400人に絞り、一般参列も見送る。ただ、「3密」回避で主会場の映像を中継する別室を追加で借りるなどするため、経費は約2800万円増加した。同会場だった鈴木元首相の1・8倍、歴代の元首相でも最高額となり、会員制交流サイト(SNS)では「税金の無駄遣い」「コロナ対策に回すべきだ」などの書き込みが相次ぐ。

 果たして妥当な金額か-。社葬など大規模葬を手がける東京都内の葬儀社によると、参列者千人超の場合、数千万円かかることもあるという。担当者は「確かに高額だが、社葬より警備費もかさみ、あり得ない金額ではない」。政府高官は「一般の葬儀と比べられない」と話す。

 そもそも元首相の葬儀の公費負担に法的な規定やルールはなく「在職時の功績などから、その時々の政府が判断してきた」(準備室)。元首相の合同葬や国民葬で国費が使われたケースは戦後10回あるが、故人の生前の意向で政府が関わらなかった事例もある。

 加藤勝信官房長官は記者会見で「中曽根氏の功績や過去の先例などを総合的に勘案した」と繰り返し、公費負担の妥当性を強調。中曽根氏の秘書だった柳本卓治元参院議員は「国民葬に値する偉大な政治家だ。費用がどうこうという次元の問題ではない」と高額批判が起きていること自体に不快感を示す。

 一方、共産党の志位和夫委員長は1日の会見で、菅政権が「あしき前例主義」の打破を掲げていることを指摘。「コロナ禍で多額の税金を使うことに疑問や批判が出るのは当然だ。前例にとらわれずに見直すべきだ」と訴えた。 (一ノ宮史成、郷達也、川口安子)

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