コロナ禍越え、より密接に 大宮登氏 

西日本新聞 オピニオン面

◆地域と大学

 大学が存在意義をかけて地域づくりにコミットしている事例が増えている。文部科学省は2006年に教育基本法を改正し、大学が果たす役割として、それまでの「教育」「研究」に「社会貢献」を加えた。13年度から始まった地(知)の拠点事業では、大学が地域の知の拠点として、大学を挙げて地域課題解決に取り組み、地域のセンター・オブ・コミュニティー(COC)としての役割を果たしていくことが求められた。

 地域には多くの課題がある。大学には数多くの専門家、若い学生がいる。学生たちが地域課題に真摯(しんし)に向き合い、教職員や地域の大人たちと協働しながら、地域づくり活動を行うと、学生たちは見違えるほど成長する。しかし、大学による地域づくり活動は、いま、新たな段階を迎えている。それは、継続事業として地域に定着することである。

 大学ではないが、大分県商店街振興組合連合会の「豊の国商人塾」は、1987年にスタートし、現在まで、860人もの卒塾生が生まれ、地域経済活性化のリーダーとなっている。私は10月にある34期の開校日に講演を依頼されているが、こうした学びの場を継続することの重要性は、大学の地域づくり事業でも、社会人の事業でもまったく同じである。継続することで、教育や地域活性化の効果は倍増する。

 私が立ち上げに関わった地域づくり事業も、地域に根付き次世代の担い手たちを育てている。NPO法人DNAは設立17年目。現在は群馬県の中学・高校生と地域の大人たちが出会い交流する「未来の教室」を展開している。中国湖南省の小さな農山村に、10万本を超える植樹を実現してきた「桜プロジェクト」は、留学生の故郷に日本の美しい桜を植えようと始まって14年目。群馬県高崎市の中心商店街で大学生実行委員会が、地域の企業や商店主を巻き込み、高校生たちの販売合戦を展開する「熱血!!高校生販売甲子園」も13年目。都市と農山村を結びつける「高崎ひる市」も12年目に入った。

 こうした地域活動で育った若者たちが、地域社会や企業、自治体などで活躍している。いま、コロナ禍で、これらの活動が中止に追い込まれているが、この難局を乗り越え、新たなパワーを蓄えて、これまで以上に飛躍することを期待したい。

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 大宮 登(おおみや・のぼる)高崎経済大名誉教授 1951年生まれ、山形市出身。高崎経済大地域政策学部では大学と地域連携の実践的教育にかかわる。日本地域政策学会名誉会長、地域活性化伝道師なども務める。専門は社会学。

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