「熊本の思い伝えたい」豪雨被災の着物をトルコで展示へ

西日本新聞 社会面 宮下 雅太郎

収益は義援金として被災地に贈る

 熊本豪雨で被災した着物を通して、日本で起きた大災害に思いをはせてほしい-。トルコ出身の輸入販売業エンシジ・ムラートさん(44)=福岡市西区=は豪雨から1年を迎える来年7月、修復した着物や帯を持ち帰り、母国で展覧会を開く。傷みが激しいものは裁断して小物に仕立てて現地で販売し、収益は義援金として被災地に贈る。

 ムラートさんは豪雨発生から半月後、同国の伝統的な織物キリムの個展を開いた縁で親交があった熊本県人吉市の老舗「旅館たから湯」を訪ねた。旅館は2階まで浸水。きりだんすに保管していた着物約200着と60本以上の帯が泥まみれになった。おかみの山本重子さん(58)は「どれも愛着があった。生地の質感や光沢も失われ、捨てるしかないと諦めていた」と振り返る。

 キリムを扱う仕事のため、繊維や布に造詣が深かったムラートさん。旅館の許可を得てたんすをバールで壊し、中から取り出した着物などを一枚一枚、近くのプールで手洗いした。「親から受け継ぐなど、大切な思い出が詰まった着物を失うと思うと、洗濯しながら涙が出た」。着物は2日間かけて洗って乾かした後、旅館の山本さんに返却。その一部を譲り受け、展示することにした。

 展覧会は、自治体の賛同を得て、トルコ北部にある出身地ゾングルダク県で開催。豪雨の写真や映像を展示するほか、人吉産のお茶などの名産品を並べ、熊本の文化を紹介するコーナーを設ける。

 ムラートさんは「被災した着物に触れることで、水害で大切な物を失った人々の思いも伝わるはずだ」と力を込めた。 (宮下雅太郎)

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