「下筌、松原ダムが被害軽減」 国交省事務所、7月豪雨で

西日本新聞 大分・日田玖珠版 鬼塚 淳乃介

 筑後川上流部の津江川にある下筌(しもうけ)ダム(大分県日田市中津江村、熊本県小国町)が7月の記録的豪雨の際、1973年の運用開始以来初めて緊急放流が実施された。5キロ下流の松原ダム(同市大山町)も一時は緊急放流の可能性があったが、実際は貯水容量内で収まった。国土交通省筑後川ダム統合管理事務所(福岡県久留米市)は「両ダムにより、下流域の日田市などの被害を軽減した」としている。

 豪雨時の緊急放流は、ダムの決壊などを防ぐため満水に達する前に、流入量に近づけた量を放流する操作で、下流域に被害をもたらす恐れがある。

 管理事務所などによると、両ダム一帯では7月6日夕と7日早朝、7日深夜の3回にわたって雨のピークがあった。下筌ダムの雨量観測所では7月5日午後5時からの60時間雨量は812ミリに達し、観測史上最大の雨量を記録した。

 両ダムの流入量が増加し始めたのは6日夜から。同日午後4時~7日午前11時に約5400万トン(福岡ペイペイドーム31杯分)がたまった。このため国交省九州地方整備局は、下筌ダムで設定されている洪水調節容量を超える可能性があると判断し、運用開始以来初の緊急放流を決定。7日午前10時半から実施し、8日午前7時10分までの間に計4600万トンを下流に流した。

 松原ダムでも「このまま豪雨が続けば予断を許さない状況」(管理事務所)もあったが、8日午前0時ごろから雨脚が弱まり、未明から水位が下がり始めたため、緊急放流には至らなかった。当時、下筌ダムは最大で洪水調節容量の98%に達し、満水位までわずか50センチに迫っていた。松原ダムは約60%だった。

 一方、両ダム下流の三隈川の小渕観測所(日田市若宮町)では、7日午前8時半に観測史上最高水位の5・39メートルを記録。堤防が耐えられる「計画高水位」(5・55メートル)よりは低かったものの、管理事務所は両ダムが無かった場合、水位は約0・9メートル高くなり、計画高水位を上回っていたとしている。さらに日田市街地付近の三隈川の水位も、今回の最高位(1・99メートル)を上回っていたと推定している。

 管理事務所は「両ダムが大量の流木を下流に流さず、治水機能を十分果たした」としているが、同市内では市西部の北友田地区などで三隈川が一部氾濫し、被害が出た。筑後川水系の河川を管理する国交省筑後川河川事務所(福岡県久留米市)は「ダムや堤防などのハード面や、ハザードマップなどソフト面の様々なツールを組み合わせた流域治水を進めていく必要がある」としている。

(鬼塚淳乃介)

大分県の天気予報

PR

大分 アクセスランキング

PR

注目のテーマ