昨年秋、熊本県の五木村から…

西日本新聞 社会面 丸野 崇興

 昨年秋、熊本県の五木村から人吉市へ向かい国道を車で走っていると、川辺川の対岸にコンクリートの構造物が見えた。切り立った崖に橋脚が建てられ、遠目には高速道路のようだ。だが道は途切れ、橋脚だけが残る場所もある。

 村によると、2009年の川辺川ダム建設休止に伴い、工事が止まったままの付け替え村道だという。村議会から活用を求める声が上がるが、国側は「ダムに付随する工事だから」と否定的。村の担当者は「あんな立派な道路、村単独で造る技術も予算もない」とこぼしていた。

 あれから1年。7月の豪雨災害後、ダム建設論が復活しつつある。是非は別として、建設が再開されれば村道の付け替え工事も進むのだろう。しかし、村の人口は千人をかろうじて上回る程度で、5割近くは高齢者。新しい道路が完成するとき、村には何人が暮らしているだろうか。緑豊かな山村の風景を思い出し、切なくなる。 (丸野崇興)

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