「面白い、面白い」。口癖のような…

西日本新聞 社会面 中原 興平

 「面白い、面白い」。口癖のようなその言葉にどれだけ救われただろうか。先月、先輩記者の野中彰久さんが急逝した。57歳だった。

 18年前、久留米総局の新人記者だった私は原稿を書くどころか、取材報告もまともにできず、先輩記者たちをあきれさせていた。きちんとしなければ、と思えば思うほどに緊張し支離滅裂になった。手帳に「話す前に深呼吸を」などと書いて改めようとしたが、うまくいかなかった。

 1年後にデスクとして着任した野中さんは、どんな報告にも前向きな言葉をかけてくれた。調子に乗ってこぼれ話をすると、「それも面白い」。記者の仕事の楽しさを知った。振り返ると、劣等生の取材の成果がいつも面白いわけがない。新人への励ましに他ならなかったと思う。

 取り立てて当時のお礼を言ったことはない。機会はいくらでもあると思っていたのだが…。不義理をしたという悔いが残る。 (中原興平)

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