焼き魚定食。若い女性編集者がこれを食べた後の皿を見て驚いた…

西日本新聞 オピニオン面

 焼き魚定食。若い女性編集者がこれを食べた後の皿を見て驚いた。サンマの骨がまるで標本のように実にきれいに横たわっている。今どき、これだけ見事に魚を食べる若者がいるとは…

▼五木寛之さんの近著「こころの相続」(SB新書)は、こんな光景からひもとかれる。出版社での打ち合わせの後、関係者と昼食を共にしたときのエピソードだ

▼女性編集者の母は魚の食べ方にうるさく、その母もまた母(祖母)から同じようにしつけられて育ったという。つまり3代続く食の流儀。そう聞いて、五木さんは思いを巡らせる

▼財産といえば土地、株、貯金など形のあるものを連想する。けれども、悩みや苦しみも含めた親の人生経験も「目には見えない財産」。大きく捉えれば、日本の文化や風習の伝承も相続に当たる。ただし、引き継ぐべきではない負の遺産も多い、と

▼わが身に照らすと情けない。中年を過ぎても直らぬ酒癖、怠け癖、浪費癖…。一体、親から何を学んだのか。子に気骨のある生き方を示した記憶はないし、一家の屋台骨などという言葉は似合うはずもない

▼サンマは今年も不漁で高値。昨今の魚離れも手伝って、食卓に並ぶ回数は減った。それでも、魚の栄養分が体に良いという教えは、日本人が代々相続してきた財産だろう。どんな魚であれ、食べ残しがないように冒頭の女性に倣って箸を握らねばと自戒する。今月は魚食普及月間。

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