二階発言、分裂に拍車…公認争い過熱の福岡5区 「漁夫の利」懸念も

西日本新聞 社会面

【福岡コンフィデンシャル】

 願ってもない「お墨付き」を得た。

 次期衆院選で自民分裂構図になっている福岡5区の現職原田義昭は、地元市議の事務所を訪れ、自身への支持を呼び掛けた上でこう付け加えた。「二階先生の発言は、5区へのけん制の意味もあるんですよ」

 党幹事長二階俊博は、4日に山口県宇部市で開かれた二階派幹部河村建夫の山口3区総決起集会で、河村の対抗馬として出馬の動きを見せる自民参院議員の林芳正を念頭に「反党行為をした人がどういう立場になるか、言わずとも分かるだろう」と警告。さらに最側近の林幹雄が「現職優先で公認する」と宣言し、出馬を強行すれば除名もあり得ると踏み込んだ。

 原田はこれを福岡5区にも当てはまると解釈。市町村議員の説得材料として言及し始めた。「現職公認はルール。公認問題に戸惑う人に、二階先生の発言を引用することもある」と戦略を打ち明ける。

 原田が所属する麻生派会長の麻生太郎にとっても渡りに船。麻生周辺は「二階発言は大きい。これで原田を公認しなかったら説明がつかないぞ」と勢いづく。

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 面白くないのは、原田の対抗馬となる自民県議栗原渉を支持する県議団だ。「二階さん、よく言うよ。これまで自分がやってきたことじゃないか」。ある幹部は二階の過去の言動を挙げ、不満をぶちまける。

 二階は2017年衆院選の山梨2区で、自民現職堀内詔子を公認せず、無所属ながら二階派に属する長崎幸太郎(現山梨県知事)をぶつけて「勝った方が公認」との裁定を下した。静岡5区では自民現職がいるのに、無所属のまま二階派入りしている元環境相細野豪志への支持を呼び掛けている。別の県議は「二階さんは場所が変われば言うことが変わる。山口での発言は福岡5区とは関係ない」と突き放す。

 県議団が反転攻勢へ望みを託すのは「地元の民意」だ。党県連は福岡5区内の七つの地域支部から意見聴取し、異例の党員投票を実施することを決定。幹事長の松尾統章らが13日、党本部を訪れ、方針を伝えた。

 投票結果は、候補者調整の材料とする考え。ベテラン県議は「党員一人一人の声を反映させる公正公平な手段だから、栗原が勝てば原田は納得するしかない」と話す。ただ、情勢は「五分五分」とみる。もし敗れれば栗原には取り付く島がなくなり、「大きな賭け」(県議)でもある。

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 党員投票に向け激化しているのが、市町村議の囲い込みだ。原田は妻と共に電話をかけたり、面会したりして実績と政策を訴え続ける。ある市議は「これまでにない対応。栗原はあまり知らないし、やはり現職を推したい」。

 一方、県議らは栗原を支援する議員の結束を固めようと、「連判状」の署名を集めている。5日には栗原が委員長を務める県議会決算特別委員会の傍聴に大野城、春日両市の市議数人を招き、議場で紹介する場面もあった。那珂川市議は「今までは上からの指令に従って応援してきたが、今回は自分たちで頑張ろうという熱気がある」と話す。

 党本部も巻き込み激しさを増す原田と県議団の対立。その熱気と反比例するように、現場ではある懸念が日に日に膨らんでいる。中堅市議が重い口を開く。

 「施策よりもどっちに付くかの話ばかり。空中戦をやっている間に野党が候補者を一本化してくれば、『漁夫の利』で議席を奪われるなんてこともあり得るよ」 (敬称略)

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