「土曜に銀行営業?」88歳、質問攻めで詐欺撃退 75歳も“後方支援”

西日本新聞 田中 早紀

 高齢者の被害に歯止めがかからない偽電話詐欺。9月末、銀行員を装った男からの不審電話を「詐欺ではないか」と疑い、被害を免れた福岡市早良区の女性(88)が12日、福岡県警早良署で報道各社のインタビューに応じ、詐欺グループの手口を明らかにした。

 9月26日午後。女性宅の固定電話に「福岡銀行の支店長」を名乗る男から電話があり、「通帳の切り替え作業をしている」と切り出した。女性が「今日は土曜日だが」と返すと、男は「こんな大事な時は働いている」と説明した。

 男は残高や暗証番号を尋ねてきた。「土曜に、しかも支店長が直接電話してくるだろうか」。疑問を抱いたが、電話口の声は「優しく落ち着いていて、まるで本物だった」という。女性が「タクシーで向かう」と言うと、男は「副支店長と話す」と少し間を空け、「早良区を回っている若い行員がいるので、待っていてほしい」と電話を切った。

 女性は「若い行員」が訪ねてくる不安と、「だまされているのでは」という不信感から、近所の友人の女性(75)に電話した。友人の女性は、家を飛び出して助けに向かった。

 間もなく、女性宅を若い男が訪れた。白いシャツに黒いズボン、革靴というきちっとした格好だったが、「通帳をいただきに来た」と話す声がとても小さい。女性が名刺を持っているか尋ねると「ない…」。詐欺と確信した女性が「最近だまされてお金を取られた話をテレビとかで聞く。あら、本当の銀行員にこんなこと言ってすいません」などと話してみても、男は黙ったままだった。ちょうど駆け付けた友人の女性が「話を聞かせてほしい」と男の後方から声を掛けた。男は驚き、そのまま逃げた。友人の女性が110番した。

 女性は「まさか自分にこんなことが起きるなんて思ってもいなくてどきどきした」と振り返った。友人の女性は「110番はハードルが高く、電話をするか迷った」と話したが、早良署の波多江啓史生活安全管理官は「ためらわずに110番してほしい。警察や銀行が電話口で残高や暗証番号を聞くことは絶対にない」と強調する。(田中早紀)

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