アレルギー拠点病院の設置に地域差 宮崎や大分など11道県でゼロ

西日本新聞 一面 本田 彩子

 生活環境の変化によって食物アレルギーや鼻炎などのアレルギー疾患患者が増える中、医療体制の地域間格差が広がっている。国は2015年施行のアレルギー疾患対策基本法に基づき各都道府県に拠点病院の指定を求めているが、宮崎、大分両県を含む11道県が未指定のままだ。背景には専門医の都市部への偏在がある。

 アレルギー疾患を巡っては12年、食物アレルギーのある東京都調布市の小学5年の女児が給食を食べてショック死する事故が発生。文部科学省の13年の全国実態調査によると、食物アレルギーのある公立小中高校生は約45万4千人で全体の4・5%。04年から4割近く増えた。基本法施行後に策定された国の基本指針は「国民の2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有している」と指摘している。

 基本法に基づく拠点病院はアレルギー疾患を扱う内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科の五つの診療科が設置され、重症患者の治療にも対応するほか、専門医の育成や研修、情報提供などの役割を担う。国は21年度までに各都道府県に原則1、2カ所の指定を求め、全国ですでに64病院が指定されている。

 アレルギー専門医は日本アレルギー学会が認定。10月2日現在、全国で計4142人。九州では福岡県が142人で最も多く、最も少ない宮崎県は13人にとどまる。

 宮崎県によると、県内で五つの診療科がある病院にはアレルギー専門医がおらず、大半は開業医。県は21年度中の拠点病院指定を目指して昨年度から県内の医療機関と協議しているが、調整は難航しているという。同県健康増進課は「専門医がいない総合病院を拠点病院に指定した上で、開業している専門医と連携する形も想定している」と話す。大分県も「本年度中の指定を目指し協議中」という。

 基本法制定に携わった福岡病院(福岡市)の西間三馨名誉院長は「住む地域によって標準的な治療すら受けられずに症状が悪化する患者もいる。福岡などから宮崎に定期的に専門医を派遣するなどブロック単位で診療体制を整えるなどの対策が必要だ」と話している。

(本田彩子)

【アレルギー疾患対策基本法】気管支ぜんそく▽アトピー性皮膚炎▽アレルギー性鼻炎▽アレルギー性結膜炎▽花粉症▽食物アレルギー―の6疾患について、国や地方自治体が医療機関の整備や、予防法と治療法の開発、学校での教育に取り組むことを定めている。厚生労働省は基本法に基づき17年3月に基本指針を作成し、同年7月に各都道府県に拠点病院の整備を求める通知を出した。

 

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