GoToナイトもあり 井上裕之

西日本新聞 井上 裕之

 目下の手ごわいウイルスを巡って一時期、連日のように耳にした言葉がある。

 「夜の街関連」。ホストクラブやキャバクラで客や従業員の集団感染が相次ぎ、注意を促す意図で使われた。盛り場全体があたかも危険であるかのように受け取られ、迷惑を被った人も多いだろう。

 居酒屋、スナック、バー、屋台…。言うまでもなく、夜の街にはさまざまな店があって、それぞれがいわば社会の潤滑油のような役割を担っている。店内の消毒をはじめ、仕切り板の設置、座席の配置換えなど、必死で感染対策に取り組んでいる店も多い。

 政府や自治体も思案したのか。そのうち、こんな言葉を使い始めた。「いわゆる接待を伴う店」。注意を促す店を特定した表現だ。これにも少し引っ掛かった。風営法上の接待の定義をよく理解していない人も多いからだ。

 接待とは、店が飲食に伴う役務を超えるサービスで特定の客やグループをもてなすこと。具体的には、慰安や歓楽の要素を帯びる談笑、歌唱、ダンスなどのサービスを積極的に提供する行為を指す。

 カウンター越しでも、従業員が特定の客の話し相手をずっと続けるのは接待。一方で従業員がソファの客の横に座っても、お酌をして速やかに離れるのであれば接待に当たらない。つまり「スナックは○、クラブは×」というような単純な区分ではない。

 接待を伴う店は違法であるかのように色眼鏡で見られがちだ。それも気掛かりだ。公安委員会の許可を得て営業時間などを順守すれば、れっきとした合法店だ。老舗のクラブなどは列島各地にある。

 無許可営業、18歳未満の従業、客引き行為などは当然取り締まるとして、健全経営の店は応援したい。スナックやバーなどを含め、夜の街に助けられた経験がある人もいよう。当方もその一人だ。マスターやママから元気や勇気づけの言葉をもらったり、店で知り合った客を通じて人脈や趣味の輪が広がったり。

 酒の好き嫌いはある。人が集まる場所は感染リスクが高いのも事実だ。ただ盛り場の人も生きるために働き、納税者でもある。そしてコロナ禍の影響をもろに受けている。そこに特化した公的支援があってしかるべきではないか。

 夜の街、盛り場に足を運ぶ「Go To ナイト」「Go To ドリンク」-。私見だが、こんなキャンペーンもどこかの時点で検討してもらいたい。週末限定や区域持ち回りでの実施など、工夫を凝らす手もある。無論、感染対策を徹底し、泥酔はお断りの上で。 (特別論説委員)

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