タイ、デモ隊「強制排除」放水車や催涙ガス投入で現場騒然

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイ・バンコクで16日夜、前日に続き、反体制のデモ隊が都心部の主要交差点を占拠した。警察は排除しようと、一連のデモで初めて放水車や催涙ガスを投入し、現場は騒然となった。約2カ月間続く学生主導のデモは平和的な活動を続けていたが、政府当局は治安を乱す行為として強制排除に乗り出した。警察によると、当局とデモ隊の計十数人が負傷したという。

 15日夜のラチャプラソン交差点での占拠デモはトラブルなく終わったが、警察は16日午後7時(日本時間同9時)前、パトゥムワン交差点を占拠していたデモ隊に向けて放水を開始。参加していた中高生や家族連れたちが退散しパニック状態となった。

 デモ隊の一部は交差点に戻り、プラユット首相だけでなく、ワチラロンコン国王を名指しで激しく非難する言葉を繰り返し叫んだ。しかしその後も警察からの圧力が続き、デモの主催者は同8時ごろ、この日のデモの終了を発表。リーダーの一人は演説で「暴力を始めたのは警察だ。これは私たちの勝利だ」と語った。17日もデモを続ける方針。

 デモに参加していた大学2年トゥックさん(22)はずぶぬれの状態で「とても怖くて泣いてしまった。平和的に自由に意見を言っているだけの私たちになぜ首相や警察はこんなことをするのか」と怒りをぶちまけた。

 占拠デモは15日、従来の旧市街地から過去に何度も衝突が起きた繁華街へと移り、緊張が高まっていた。二つの交差点は、首都最大級の商業モールや有名ホテル、観光名所が集まる。いずれも10年と14年に当時の政権に反対するデモ隊が数カ月間に渡って泊まり込んで占拠した場所であり、治安部隊の強制排除や何者かの銃撃や爆破によって多くの死傷者が発生。14年の軍のクーデターを招く要因にもなった。

 このため、デモを主導する学生リーダーたちは過去の衝突を教訓に冷静な行動を呼び掛け、軍に武力行使やクーデターの口実を与えない戦略を取ってきた。主要リーダーのパリットさん(22)は15日に逮捕された後、会員制交流サイト(SNS)に「闘争メソッド(方法)」と題した手書きメモを投稿。「毎日デモを続けること。ただし衝突を避けるため泊まり込みはしないで」と訴えた。激しい王室批判を展開する一方、9月下旬には王室問題を議論するため、対立する王党派メンバーを招いたセミナーも開いた。

 バンコクに新たな非常事態宣言を発令し、5人以上の集会を禁じたプラユット首相は16日、臨時閣議後の記者会見で学生らが求める退陣を否定。「現在のタイは平和な状況ではない」と指摘した上で「混乱を招いたのは誰のせいなのか。私のどこが悪いんだ」といらだちをあらわにした。

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