国際金融都市構想「受け入れ環境整備」など…実現には 高い壁

西日本新聞 総合面 下村 ゆかり

 海外から金融機関や金融人材を誘致し、ニューヨークやロンドンと並ぶ「国際金融都市」の形成を目指す機運が高まっている。東京、大阪、福岡が候補地に挙がり、政府も受け入れ環境を整えるため、減税措置や在留資格の特例制度を検討する。優秀な金融人材や投資マネーを呼び込んで市場の活性化につなげる狙いだが、実現には生活環境の整備など課題も多い。

 「簡単な目標ではないが、福岡も挑戦する」

 福岡市の高島宗一郎市長は9月末、東京で菅義偉首相や西村康稔経済再生担当相と面会後、記者団を前に力を込めた。市は福岡県や地元経済団体と国際金融都市を目指す産学官組織「TEAM FUKUOKA(チーム福岡)」を結成。外資系企業や人材の誘致に向けた勉強会などを開く方針だ。

 国際金融都市構想はバブル期に浮上、金融機関の本店が集まる東京を念頭に議論されてきた。ところが、長引く経済の低迷にあえぐ日本に金融ハブをつくろうとする動きは乏しく、税制や英語対応の環境が整う香港や上海、シンガポールに後れを取ってきた。

 風向きが変わったのは6月。中国が香港国家安全維持法を施行し、米国の金融機関などが香港からの撤退を表明した。与党内で「香港から流出する投資マネーや人材の受け皿になるチャンスだ」との声が強まり、政府は7月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」に「国際金融都市の確立を目指す」と明記した。

 金融庁は2021年度中に担当参事官を置き、金融や英語に精通した弁護士を雇う方針だ。他国と比べて負担の重さが指摘される法人税や所得税、相続税の改正も要望し、担当者は「金融拠点を目指す自治体があれば協力したい」と話す。

 東京、大阪も政財界を挙げた誘致に本腰を入れつつある。東京都は今月、海外金融機関などの誘致に向けた準備会合を開催。大阪府も大阪・神戸で金融都市構想を進めるSBIホールディングスと連携し、政府への働きかけを強める。

 ただ、人口減などを背景に経済成長の見込みにくい日本に、拠点や人材を呼び込むのは容易ではない。外資系が日本進出を敬遠する要因には、英語で居住手続きをする難しさや、投資家を世話する家政婦の家族まで帯同できないことも挙げられている。英シンクタンクなどがまとめた世界111都市の金融センターランキング(9月時点)では東京は4位だったものの、大阪は39位、福岡は圏外と低迷している。

 みずほ総合研究所の長谷川克之チーフエコノミストは「ビジネスチャンスがあると判断すれば、海外金融機関も人材も日本進出を目指す。ベンチャー企業やフィンテック(ITを使った金融サービス)を育て、日本の市場の魅力を高める必要がある」と指摘する。 (下村ゆかり)

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