地域の歴史を再発見…星野村のカラ迫岳に登る

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

 行楽シーズンまっただ中、福岡県八女市星野村と大分県日田市の県境にあるカラ迫(さこ)岳(高嶺山、1006メートル)を、地元の登山愛好家と歩いた。道中には古い金鉱の名残や、県指定文化財でもある「国境石」などが点在する。爽やかな秋風の中で森林浴を楽しみながら、地域の歴史を再発見する登山となった。

 星野村中心部から車で15分。森林基幹道星野線の終点の少し手前にある「尾詰登山口」から登った。頂上までの登山道は東ルートと西ルートに分かれており、一周約3キロ。この日は東ルートから登り、西ルートから下りた。

 登り始めて間もなく、小川のほとりに、むき出しになった鉄筋が草木の間からのぞいていた。星野村では約300年前に金の採掘が始まり、昭和に入り設備も本格化した。300回を超すカラ迫岳登頂歴を誇る星野村の村上喜美子さん(78)は鉄骨を指さし「おそらく担ぎ出した金をここで積み降ろししていたのでは」と話す。

 登山道の途中にも、大小の穴がある。金山の坑道跡だという。じっと縦穴の先に目を凝らすと、暗闇に吸い込まれそうだ。

 雑木林を抜けて尾根沿いの道に入ると、古い石柱があった。「国境石」と呼ばれ、江戸時代に金鉱を巡って久留米藩と天領日田(大分県日田市)が国境を争った跡らしい。

 頂上は7、8人でいっぱいになるほどの広さだが、周囲を360度見渡せる大パノラマ。好天に恵まれたこの日は島原半島も望めた。ポストが設置され、中のノートに人々が足跡を残す。

 登山道は手入れされ、表示もわかりやすかった。村上さんによると、山の持ち主や地元の人々が守ってきたそうだ。雑木林が作り出す柔らかな木漏れ日の中を歩きながら、かつて金山として栄えた歴史が生んだユニークな山を満喫した3時間だった。 (丹村智子)

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