ネット整備遅れに不満も…コロナ対応で授業様変わり

西日本新聞 北九州版 野間 あり葉

 席の間隔をとり、授業中の会話はなるべく控えるように-。北九州市教育委員会が6月、市立の小中学校・特別支援学校に通達した新型コロナウイルス対策を受け、授業の様子は様変わりした。市教委は8月末までに小学6年と中学3年計約1万5千人に1人1台のタブレット端末の配備を完了し、各校はタブレットを活用した新しい授業を模索している。ただ、校内の無線LAN整備は9月末現在で、全学校の約15%にとどまっており、1人1台の端末を活用できない学校側からは不満も漏れる。

■静かな教室

 9月下旬、門司海青小(門司区)6年2組の教室では算数の授業が行われ、20人の児童がタブレットに円の面積の求め方を書き込んでいた。「タブレット内を移動して友だちの考えを見てみましょう」。担任の潮田皓一教諭(33)が呼び掛けると、児童たちは黙々とタッチペンを動かし、自分のタブレットに他の児童が書いた図形や計算の画面を表示していく。

 市教委の通達により、授業中の発言は極力減らさなければならなくなり、班ごとに集まって意見を言い合うこともできなくなった。潮田教諭は「物理的に移動して会話ができないなら、端末内を移動して考えを共有できれば」とタブレットの活用方法を模索中だ。

■前倒しでも

 市教委は、コロナ禍以前から教育現場への情報通信技術(ICT)導入を推進。当初、ネット環境の整備費やタブレット購入費など約53億円の予算を計上して今年中にインターネットに必要な校内の無線LAN整備を完了し、本年度中に全児童生徒と全教員計約7万人に1台ずつタブレットを配備する予定で事業を進めていた。

 しかし、新型コロナの影響で再び休校になる場合に備え、受験などを控える小学6年と中学3年へのタブレット配備の前倒しを決め、8月末までに完了。一方で、無線LANの整備は9月末現在で全194校のうち30校にとどまっている。

 市内のある学校では、8月末までにタブレットが届いたもののネット環境が整っておらず、1人1台の活用ができていない。校内の「パソコン室」に元々通っていたネット環境があり、1教室当たりかろうじて6~8台は使用できるため、グループ単位で使用しているという。

 同校関係者は「同じ区の他校では工事が完了したところもあると聞いた。工事がどういう順番なのか、いつ終わるのかもわからない」とこぼす。

■応急処置も

 同市の市立小中学校・特別支援学校は新型コロナの影響で本年度に限り2学期制を導入。16日で前期が終わり、長期の休みを挟むことなく19日からは後期が始まる。

 市教委は、無線LANの工事が完了した学校でそれまで使用していたインターネットの機器を、工事が終わっていない学校に移して応急的に使用するなど対応を急いでいる。

 市教委学校支援部学事課の仲道裕一課長は「学校側も大変だと思うが、学校数が多いため工事の進捗(しんちょく)にはどうしても差が出てしまう。今年中に全校でネット環境を整えられるよう、引き続き進めていきたい」と話している。 (野間あり葉)

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