「兄」と別れて立民に賭ける 衆院議員2人の「生き残るため」の決断

西日本新聞 社会面

【福岡コンフィデンシャル】

 3カ月前には考えられない光景だった。

 18日夕、新「立憲民主党」福岡県連結成大会を終えたばかりの衆院議員城井崇と稲富修二(いずれも比例九州)は、福岡市・天神の街頭でマイクを握った。「政権と政策の選択肢を野党第1党でつくりたい」。熱く語る2人の元に遅れて駆けつけたのは、同党代表の枝野幸男。2人は枝野の演説を聞きながら何度もうなずいた。「枝野代表を先頭にわれわれ頑張ってまいります」。演説会は、稲富の団結をアピールする言葉で締めくくられた。

 城井と稲富は元外相前原誠司を「兄」のように慕い、長年行動を共にしてきた。だが、立民と国民民主の合流に際し、2人は新「国民」に残った前原から離れ、枝野率いる新立民に加わる道を選んだ。演説会は、2人がいよいよ前原とたもとを分かったことを象徴する場面となった。

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 8月中旬、北九州市の飲食店で城井は前原と向き合った。誘ったのは前原。直前の同15日に前原は地元・京都で国民残留を表明していた。「城井ちゃん、一緒に来てくれないか」

 前原の秘書を経て政界に入った城井は、前原が率いた議員グループ「凌雲会」に所属。2017年に前原が希望の党への合流を目指したときも連れ添った。

 ただ、国民議員の多くが新立民に合流する流れで、新国民の存在感は薄まる一方。「国会で生き残って仕事できる選択をしたい」。城井は前原に曖昧な返事しかできなかった。城井の葛藤を近くで見てきた市議は「引き裂かれる思いで、相当悩んでいた」と明かす。

 同22日、城井は「大きな固まりから声を上げたい」として、新立民への参加を表明。元国民県連関係者は「泥舟に一緒に乗りたくないってことだろ」と皮肉った。

 稲富も松下政経塾生だった約20年前から、前原と親交がある。

 8月に福岡市で食事した際、稲富は前原に「野党は一緒に戦った方がいい」と語り、最後まで同じ道を歩む方法を探った。新立民に加わる意向を伝えたのは、記者会見前日の同27日。前原はうなずき、引き留めなかった。

 小選挙区で4度の落選を経験した稲富は、選挙の勝利が「最優先事項」。片や前原は地元に強固な後援会組織を持ち、安定して当選を重ねる。「前原さんは政策を優先して考えていても選挙に勝てる」。稲富が抱く前原への羨望(せんぼう)。それが結果的に2人の距離を遠ざけることになった。

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 新たな船出を決意した2人だが、前途は多難だ。

 新立民が綱領に「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」と盛りこんだことがネックとなり、連合傘下の民間産業別労組(産別)の組織内国会議員の一部が加わらなかった。

 北九州地区のある労組幹部は、新立民参加の説明に訪れた城井に対し、「これまでのような支援はできないかもしれない」とくぎを刺した。別の労組幹部は「組織としての支援は変わらない。ただ、組合員がちゃんと投票してくれるのかまでは分からない」と話す。

 2人の選挙区内の一部地方議員も、支持組織の意向を背景に無所属を選択。前回のような選挙態勢が組めるのか不透明だ。

 「地元の支援者の中には新立民に不快感を持っている人もいる」。稲富自身、足元の揺らぎを感じている。18日の演説会で関係者は稲富と枝野が並んだ写真を撮るのを避けた。「その構図が表に出ると稲富の支援者の反発をあおるだけだから」 (敬称略)

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