コロナとインフル 同時流行も想定し備えよ

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルス問題の収束も見通せない中、季節性インフルエンザの流行期が迫ってきた。同時流行という事態も想定し、備えを急ぐ必要がある。

 今季はインフルエンザのワクチン接種希望者が増えると見込まれ、政府はワクチンメーカーに増産を要請した。ただ供給が追いつかない恐れもあり、厚生労働省は65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人の接種を今月1日から始め、それ以外の希望者は26日以降にするよう国民に協力を求めている。

 しかし、インフルエンザ脳炎のリスクが高い乳幼児などの接種予約が既に医療機関に相次いでいる。日本感染症学会などが参加する予防接種推進専門協議会はワクチン増産が不十分な場合、小児への接種回数を世界保健機関(WHO)の基準を参考に2回から1回に減らすことも提案するよう政府に提言した。

 政府は増産を後押しするとともに、一人でも多くの希望者が接種できるように、医療機関が柔軟に対応するための指針を早急に示すべきではないか。

 同時流行に備えて政府は今月中にも、発熱などで新型コロナ感染が疑われる人の検査・受診態勢を抜本的に見直す。

 これまで感染が疑われるケースは保健所の相談センターに電話し、専門外来を紹介してもらう仕組みだった。新たな仕組みでは発熱などがあれば、地元のかかりつけ医などに相談する。その上で、都道府県が「診療・検査医療機関(仮称)」に指定した病院などで検査・受診することになる。

 同時流行で発熱者の相談が保健所に集中すれば、ただでさえ過重負担にあえぐ保健所がパンクする。一方で地域の病院や診療所で院内感染が起こると、地域医療や病院経営へのダメージは計り知れない。実際、各地の診療・検査医療機関の指定作業は難航しているという。

 診療・検査医療機関に指定されれば、発熱患者の動線を別疾患の患者と分けるといった院内感染対策が求められる。政府は発熱患者受け入れ態勢の整備を補助金で支援しているが、十分とは言い難い。医療従事者を感染から守るために不可欠な医療用のN95マスクが不足しているとの声も絶えない。

 政府は全国の医療現場の声を聞きながら支援拡充を検討すべきだ。安心して受診できる態勢が整わなければ、新型コロナの感染を恐れた「受診控え」が広がりかねないからだ。

 手洗いとマスク着用を徹底して、他人との距離を保ち「3密」を避ける。新型コロナ予防はインフルエンザ予防と重なる。感染防止の注意喚起と啓発に力を入れることも肝要だ。

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