現代まで継がれている…

西日本新聞 オピニオン面

 現代まで継がれている都々逸には、昔の人の粋で乙な言葉遊びが息づいている。「顔見りゃ苦労を忘れるような/人がありゃこそ苦労する」「あきらめましたよどうあきらめた/あきらめきれぬとあきらめた」

▼男女の機微を織り込んだものが多いが、今の季節に合うものもある。「信州信濃の新そばよりも/あたしゃあなたのそばがいい」。人恋しさも食欲も募るシーズン

▼もう一つ、季節の風物を。「あついあついと思っていても/三月(みつき)もせぬうち秋がくる」。確かに朝晩はぐっと涼しくなりました-との単純な解釈ではいけない。「秋」を「飽き」に置き換えると、冷めゆく男女の姿に

▼「夢にみるよじゃ惚(ほ)れよが薄い/真に惚れれば眠られぬ」ほど熱かった仲も、年を重ねて「酒の相手に遊びの相手/苦労しとげて茶の相手」になれば誠にめでたいもの。決して「金もできたし着物もできた/そろそろあなたと別れよか」となりませんよう

▼人生に染みる至言もある。「上を思えば限りがないと/下を見て咲く百合の花」「道の草人に踏まれて一度は寝たが/人の情けでまた起きる」。対して「お酒のむ人花ならつぼみ/今日もさけさけ明日もさけ(酒、咲け)」とは耳の痛い忠告

▼最後に有名な一作をかの国の大統領に贈るとしよう。選挙戦も最終盤。毒舌への戒めに。「丸いタマゴも切りよで四角/物も言い様で角が立つ」。聞く耳持たずでしょうが。

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