なぜ?特定技能、建設業だけ割高 特殊な仕組みの背景に失踪者の多さ

西日本新聞 一面 竹次 稔 古川 幸太郎

 外国人労働者を増やす目的で新設された在留資格特定技能」について、建設業の関係者から「賃金以外に費用がかかりすぎる仕組みだ」との不満の声が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。調べてみると、対象となる14業種のうち建設業に限り、業界の調整機能を担うとする組織への高額な会費や負担金の支払いが求められていた。専門家は「特に中小企業にとって、利用しづらい制度になっている」と指摘する。

 「特定技能が始まり1年半だが、何をしているのかよく分からない組織だ」。声を寄せてくれた関係者は疑問を抱く。

 その組織は、一般社団法人の建設技能人材機構(JAC、東京)。特定技能が始まった2019年4月に発足し、海外訓練生の支援や巡回指導などを担う。受け入れ企業は年会費24万円を支払って賛助会員となるか、JAC傘下の業界団体に加入するかが義務付けられる。どちらであっても、外国人1人当たり年間15~24万円の負担金をJACに別途支払う必要がある。

 他の13業種の場合、制度の趣旨や課題を共有する目的から、所管省庁が関係者で組織する「協議会」を設けており、受け入れ企業には加入義務があるが、会費や負担金をとっている協議会は今のところない。

 さらに建設業は入国管理局の在留審査の前に、見込み賃金などを盛り込んだ「特定技能受け入れ計画」について国土交通省の認定が要る。

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 建設業だけが“特殊”な仕組みとなっていることについて、国交省は「(従来の在留資格の)技能実習で建設業は他の業種より失踪者が多いなどの問題が指摘されている。業界で就労管理を徹底するためにJACがある」と説明。「技能実習であっても、監理団体に毎月費用を支払う。それに比べ、JACに対する会費は高くない」という。

 特定技能では、技能実習生を支援する監理団体に近い組織として、登録支援機関もある。受け入れ企業は、登録支援機関の費用も負担すれば、JACとの“二重払い”となるが、同省は「登録支援機関に頼るかどうかは、各社の判断だ」としている。

 JACは取材に「特定技能を目指す外国人を海外で支援するほか、国内試験、受け入れ企業の巡回活動などが任務だ。コロナ禍だが、段階的に任務を果たす。会費はそれに必要なものと考えている」という。

 「技能実習生を建設分野で受け入れてきたが、特定技能はJACへの金がかかるのでやめた」。特定技能に詳しいある専門家は、企業からこう打ち明けられたという。「24万円の会費を集め、JACがこれから何をするかだ。企業側のメリットも見えないと、現場から不満が出る。その分を外国人の賃金に回した方がよいとなるだろう」と指摘する。

 国交省によると、特定技能の基本給は、月23万円超(関東)となった事例があるという。建設分野の特定技能での在留外国人は23年度までに4万人が目標だが、今年6月末時点で400人弱にとどまっている。 (竹次稔、古川幸太郎)

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