一緒に散歩、会話も…それでも夫婦が別れる理由「家族になったから」

西日本新聞

復刻連載・夫婦でいる理由(わけ)<1>

 日曜日の昼下がり。京子さん(32)は、浩さん(30)とよく犬の散歩に出かける。福岡県北部の閑静な住宅街。近所の目には「仲のいい夫婦」と映っているに違いない。

 ところがこの2人、既に別離を心に決めている。浩さんに慰謝料ができ次第、離婚届に判を押す段取りになっている。

 「誤解されても仕方ありませんね。同居してるし、一緒に買い物にも出かけます。会話だって普通にしますよ。私が仕事帰りに飲みにいって遅くなれば、車で迎えにもきてくれますから」。派遣会社に登録して商社に出向している京子さん。丁寧な言葉遣いに年齢以上の落ち着きが感じられる。淡々と「別れる理由(わけ)」を語りはじめた。

    ×   ×

 「実は私たち、3年前に結婚して以来、性生活が一度もなくて…。どうしてもそういう気持ちになれなかったんです。求められることもありませんでした」

 出会って1年後にゴールイン。式の直前に浩さんの転勤が決まり、新婚旅行は後回し。関西出身の2人の新婚生活は、福岡という見知らぬ土地でスタートを切った。

 朝はお弁当を作り、掃除、洗濯と家事をこなし、夕食の準備をして帰りを待つ。まだ近所との付き合いも浅い孤独な専業主婦。夫も新しい職場で気苦労も多い。夫婦にとって2人で過ごす夜が、いちばんの心安まる時間だった。

 その日の出来事を語り合いながら食事をとる。ソファに座り、テレビを見ながら同じ場面で一緒に笑う。そして2人でベッドに入る。 

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