「将来は未定です」バツイチ女性が同棲を選ぶ理由

西日本新聞

復刻連載・夫婦でいる理由(わけ)<7>

 朝、彼を送り出した後、出社時間までワイドショーを見るのが、早苗さん(30)=仮名=の日課だ。最近では、「羽賀研二・梅宮アンナ破局-同棲生活にピリオド」の話題から目が離せなかった。「相手のことを見極めるまで、一緒に暮らしても籍は入れない。賢明な選択だわ」。そんな感想を抱く彼女も、実は、同棲中の身。勤め先の北九州市にある洋品店で話を聞いた。

    ×   ×

 -相手は。

 「4歳上の会社員です。彼のマンションに押し掛けて半年になります」

 -なぜそうしたのですか。

 「店長を任されたばかりだったので、仕事に集中したかったから。私生活を安定させておきたかったし、身近に精神的な支えが欲しくて」

 -どんな生活ですか。

 「普通の共働き夫婦と変わりませんよ。家事はできる方がやっています」

 -結婚するつもりは。

 「今はまだ考えられません。彼も課長に昇進したばかりで頑張っているので、まずは仕事優先です」

 -将来は。

 「未定です。一生この人とやっていけるか、見極めている最中ですから。今の関係が続けば、そのうち…」

    ×   ×

 いたって慎重だ。それには2年前に経験した離婚がブレーキ役になっている。

 別れた夫とは、高校時代からの付き合い。設計事務所の建築士で「30歳までに独立する」が口癖だった。早苗さんにも自分の店を持つ目標があり、2人で未来を向いて語り合う時間が心地よかった。

 交際8年を経ての結婚は、夢の実現に向けてのジャンプ台になるはずだった。

 が、2年と持たなかった。

    ×   ×

 -別れた理由は。

 「家庭に期待するものが食い違ってたから。夫は安らぎを、私は刺激を求めていた。恋人時代のようにライバルでいてほしかったんですが」

 -そうではなかった。

 「仕事に疲れて、家ではいつもゴロゴロ。口を開けば職場の愚痴ばかり。結婚前の前向きな夫とは違う一面を見て幻滅してしまって」

 -8年も交際して、そういう面に気づかなかった?

 「長所も短所も知り尽くしていたつもりでした。でも、一つ屋根の下に暮らして初めて分かることも多かった。刺激よりも物足りなさの方が上回ってしまい、最後は顔を見るのもいやでした。それで、もう別れましょう、と」

    ×   ×

 だが、事はすんなり運ばなかった。慰謝料の額をめぐって両家が対立。親に借りた結婚式の費用やマンションのローンなど、借金の精算にも手間取った。すべてが決着するまで、さらに2年かかった。

 「2人の気持ちの整理はとっくについていたのに。一度入籍すると、別れるのって、大変。その点、同棲は気楽。結婚に対して臆病になっているのかもしれませんね」

 この記事は1999年4月7日付で、文中の年齢、肩書、名称などの情報はすべて掲載当時のものです。

    ◇    ◇

 21世紀に入って20年が過ぎた。この間、女性の社会進出が進み、男女の関係も変化したように見える。では、夫婦のカタチは…。1999年の連載「夫婦でいる理由(わけ)」を読み返してみると、その答えが見えてくる。

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