「古里は親」空き校舎で最先端のIT人材育成を 出身の経営者が決断

西日本新聞 大分・日田玖珠版 吉田 賢治

 ITコンサルタント会社「ティーアンドエス」(東京)が来年、大分県玖珠町の旧森中校舎を活用し、IT人材の育成施設を開設する。同社の稲葉孝政会長(63)は町出身で同校卒業生。進出の決め手は「郷土愛」と明言し、事業の成功だけでなく「玖珠町を起点に、地域創生のモデルづくりにも挑戦したい」と意気込みを語った。

 同社の人材育成施設「ITファームKUSU」は、鉄筋コンクリート3階建ての空き校舎内を、オフィスやIT教育ルーム、社員食堂などに改修して来年10月にオープン。学歴や国籍を問わず、全国から15~25歳を募集し、一般常識や論文などのテストに合格した20人を半年ごとに正社員として採用する。東京勤務者と同じ月20万円を支給しながら、最先端のIT技術を習得させる。

 近くにはワンルームタイプの居住施設も新築。半年間の研修後には、適性に合った社内の部署に配属し、玖珠町への居住を推奨するという。

 現地で取材に応じた稲葉会長は、東京、福岡、日田に続いて玖珠に拠点を設ける真意について「古里は世話になった親みたいなもので、親にも幸せになってほしいから」と思いを語る。

 東京一極集中の是正が叫ばれて久しいが、製造業以外は企業の地方への進出が進まない現状がある。その要因の一つとして稲葉会長は地方の人材不足を挙げ、「だからこそ教育施設を設け、IT企業に欠かせない特殊技術を持った人材を育てたい。東京並みの給与を支払えば全国から人は集まる」と自信を示した。

 さらに玖珠に集まった人材を生かしてIT開発運用拠点へと成長させる戦略を披露し「成功すれば、日本中に地域創生のモデルができる」と強調した。

 大手企業のデジタルシステム開発・運用のほか、音楽、ゲーム制作といった事業へも展開し、急成長しているとされる同社。それでも「現在の日本は米国の巨大IT企業に負け続けている」と危機感を示し、「人材育成に注力して勝てる起点をつくることに、私は命を懸ける」と強い思いも語った。

(吉田賢治)

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