バンコクの非常事態宣言解除へ タイ首相、デモ沈静化狙い妥協

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】学生らの反体制デモが続くタイのプラユット首相は21日夜、臨時のテレビ演説を行い、首都バンコクを対象に15日発令した新たな非常事態宣言を取り消す方針を明らかにした。反体制デモが全土に拡大するなど収束しない中、妥協の姿勢を示して沈静化を図る狙い。ただ反体制派は首相退陣と憲法改正、王室改革を強く要求し続けており、事態打開につながるかは不透明だ。

 首相は21日午後7時(日本時間同9時)ごろ、テレビ演説。反体制派の主張は理解しているとの認識を示した上で「私は段階的な緊張緩和を図るための最初の手段として、暴力的な事態がなければ直ちにバンコクの非常事態宣言を取り消すよう準備している」と述べ、反体制派にデモ沈静化を促した。

 さらに26、27日に国会が臨時招集されることに触れ「街頭(デモ)に行く人々と他の多数の人々との対立を解消する手段は国会プロセスを通じた議論だ」と指摘。「私たちは(対立の)真ん中の道を選ぶ成熟さと忍耐を示すべきだ」と強調した。

 首相は15日、デモ隊が王室の車列を妨害したことなどを重く見て、バンコクを対象に5人以上の集会などを禁じる新たな非常事態を発令。学生リーダーらを相次いで逮捕したり、放水による強制排除に踏み切ったりしたが逆に反発が強まり地方にもデモが拡大した。ただバンコクの非常事態宣言は解除されても、新型コロナウイルス感染防止を理由に全土に発令中の非常事態宣言は残ったままだ。

 デモ隊は21日もバンコクの戦勝記念塔と周囲の交差点を一時占拠し、夜になって首相府への行進を開始。警察は同府につながる複数の道路を封鎖して臨んだ。

 首相府近くに来たデモ参加者の高校1年ナーさん(16)は非常事態宣言の解除について「首相と政府が自分を守るための言い訳で、意味はない。要求が聞き入れられるまで今後もデモは続く」と話した。

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