いじめの芽摘む「1分間交流」誤解が減って評判も上々

西日本新聞 社会面 小林 稔子

 いじめが起こらないような学級をつくるには、どうすればいいのか。教師だけでなく、子どもたち自身も模索している。福岡教育大付属福岡中(福岡市中央区)の2年2組は、男女間の会話を増やす「1分間交流」に取り組んでいる。男女が2人一組になり、毎朝話すことで互いの理解を深め、居心地を良くしようという生徒発案の試みだ。話す相手が限られていた生徒も「男女間の考え方の違い」を認識。いじめ防止策で始めたわけではないが、識者は「いじめの芽にもなり得る言動の誤解が減る」と評価している。

 「5千円もらったら、貯金以外に何に使うか」。19日朝、クラスの40人が1対1で対面し、お題に沿って話し始めた。「卓球の道具一式をそろえたい」「食べ物に使いたいな」と話が尽きない中、1分間の交流時間は終了した。

 発案者は学級委員長の佐々木翔さん(14)。コロナ禍による長期休校は6月中旬に明けたが、教室での会話は少なく、男女間ではないに等しかった。「このままでは駄目だ」と、会話のお題を設定し、相手を毎日変える「1分間交流」を考案。担任の篠田穣教諭(39)も了承し、7月に始めた。

 「来世は何になりたい」「先生をどう思う」「好きなアーティストは」…。生徒から募ったお題を毎朝おみくじ形式で選ぶ。評判は上々だ。森夏生さん(14)は中1で一緒だった女子が少なく、最初は話すのをためらっていた。いざ交流してみると「おしゃれの話とか聞いていて面白い」。他にも「静かだと思っていた人が実は話し好きと分かった」「男子同士ではよく口にしていた冗談も傷つく女子がいる」といった気付きにつながっているという。

 効果は、いじめ防止支援プロジェクトの一環として同校が行うアンケートにも表れている。団結、仲間など24項目について、学級内でどの程度実現しているかを生徒が100点満点で採点する。6月末と9月末の平均点を比べると「団結」が76・6点から91・1点、「認め合い」が76・2点から84・8点に上がるなど全項目で上昇した。今後、他の学級も取り組む予定だ。

 この試みの効果について、福岡教育大の大坪靖直教授(教育社会心理学)は「人は認識の違いに気付くと、相手の言動の心理を正確に推し量り、自分の意図を誤解なく伝えようとする」と指摘。そうした会話が増えれば「誤解したまま不愉快なことを言ったり言われたりすることは少なくなり、結果としていじめも減ることが期待される」としている。 (小林稔子)

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