被災地「ダム案は拙速」熊本知事の意見聴取会 八代市・球磨村拒否反応も

西日本新聞 社会面 古川 努 中村 太郎

 7月豪雨で氾濫した熊本県南部の球磨川を巡り、治水策に民意を反映させようと、蒲島郁夫知事は22日、甚大な被害が発生した八代市坂本町と球磨村で住民の意見を聞いた。「一日も早く集落に帰りたい」という被災者の思いの実現に向けて「治水の方向性」の判断を急ぎ、「川辺川ダムも選択肢の一つ」とする蒲島氏に対して、この日の会合では「拙速」との声やダムへの拒否反応も相次いだ。

 「代替地があれば早く帰りたい。でも家を建てる場所がない」。坂本町住民自治協議会の蓑田陽一監事は「何とかしてほしい」と訴えた。会合では「生活道路の早期復旧を」「河川を掘削して」などの要望も上がった。

 集落再生の前提となるのは治水策。洪水の被害想定ができない状態では、具体的な復興計画を立てられないからだ。そこで、12年前に蒲島氏が「白紙撤回」した川辺川ダム建設の是非論が再燃しており、流域には「必要性は理解できる」との声や推進論もある。

 だが、坂本町で商店を経営してきた本田進さん(86)は「ダムができれば地域は崩壊する」と強調。別の発電用ダムが原因で「川が死んだ」との思いがあるという。球磨村でヤマメ養殖場を管理する斎藤寛さん(62)も「川辺川ダムで浸水被害を6割減らせる」とする国の検証結果に「拙速で不十分。デメリットも丁寧に説明を」と指摘した。

 同村神瀬地区で住民組織を立ち上げた一人、岩崎哲秀さん(46)は「まず住める場所の確保」を望み、最終目標として「人々が集う村づくり」を提案した。

 蒲島氏は会合終了後、報道陣に「川辺川ダムを巡っては、分断の歴史が60年近くあった。(地域が)二分されないような計画、方向性を考えなければいけない」と語った。 (古川努、中村太郎)

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