あの日、何を報じたか1945/10/25【藷泥棒は夜警団で防げ 県警察部も近く一斉に手入れ】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈粒々辛苦してやっとつくりあげた藷(いも)が不届きな泥棒のため一夜にして掘り返されたという忌まわしい事件は最近頻々として発生し、農民の憎悪を買っている。これが憎むべき悪質犯であることはもちろんであり、ひいては生産者の生産意欲にも響くところが大きいので、福岡県警察部では近く県下一斉に藷泥棒の検挙に乗り出すことになったが、この種犯罪の取り締まり検挙はいろんな条件から容易でない実情にあり、県警察部ではこの際、一般農家も夜警団などを組織して自ら防犯に努め協力するよう望んでいる〉

 戦時中に輪を掛けて厳しくなった食料事情。農作物泥棒は夜間の犯行も多く、警察による24時間の警戒、取り締まりは当然難しかった。記事は、自警団が犯罪を防いだ実例を挙げている。

 〈福岡市の片江でかねて怪しいと思っていた同地居住の男(四四)(※記事では実名)方を同部落の実行組合員が総動員して一晩中取りまいて警戒した挙げ句、十三貫(※約49キログラム)の甘藷を盗んできた同人を逮捕して西福岡署に突き出した事件もあり、藷泥棒などの屋外窃盗はこの手が一番効き目がある〉

 県刑事課長は、自警について次のように注意も求めている。

 〈関東での実例だが藷泥棒を取り押さえようとして犯人と自警団との間に乱闘が起こり、ついに犯人を殺してしまった事件があった。これは殺人罪を構成せずに起訴猶予となったが、ここまで行き過ぎては考えものだ。自信があれば取り押さえるもよいが、できない場合は犯人を尾行して居所を突き止めたのち警察官に届けてもらいたい〉

 続く記事は、福岡県の八女地域でサツマイモの収量が昨年比で2割減だったことを伝えている。1945年は多雨と冷夏で凶作となり、食料事情をさらに悪化させていた。 (福間慎一)

   ◇    ◇

 〈〉の部分は当時の記事から引用。できるだけ原文のまま掲載。

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ