基地外宿泊有事を想定か コロナ契機、常態化の恐れ 日米共同訓練

西日本新聞 社会面 佐伯 浩之 湯之前 八州

 在日米軍再編に伴う航空自衛隊と米軍の共同訓練が26日から空自新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)で始まる。参加の米兵約200人が宮崎市内のホテルに宿泊したことに宮崎県や宮崎市などが反発。新型コロナウイルス感染拡大を懸念して再三、基地内施設の利用を求めているが聞き入れられていない。基地外宿泊が戦闘訓練と同様の訓練だと指摘する有識者もおり、今後の米軍や防衛省の動きが注視される。

 県などによると、9月17日に県内のホテルから「米軍から宿泊問い合わせの相談を受けている」と情報が寄せられたのが問題の発端。県が防衛省九州防衛局(福岡市)に問い合わせたところ、「米軍の宿泊先を基地外の施設にする方向で調整中」との回答があり、県はすぐさま基地内の宿泊を要望した。

 同30日には同局から、県が相談を受けたホテルとは別の県内のビジネスホテルを予約したなどの情報提供を受けた。その後、県や市は「あくまでも基地内宿泊が原則だ」と主張。河野俊嗣知事や戸敷正宮崎市長らが防衛省に要望書などを何度も提出したが、聞き入れられていない。

 さらに、県は同局から米軍の先遣隊の到着情報を予定日の2日前の10月17日夕に聞かされるなど、情報伝達の遅れが不信感につながっている。河野知事は「基地内宿泊を要望しているが実現されていない。要望を取り下げるつもりはない」と憤りを隠さない。

 さらに、訓練での安全対策を盛り込んだ協定を同局と結ぶ新田原基地の地元・新富町など5市町は約束をほごにされた形。協定締結の経緯を知る県議は「何も信用できない。住民のコンセンサスは得られない」と不信感を募らせる。

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 防衛省によると、日米共同訓練は2006年度から始まり、今回が108回目。新田原基地では10回目になる。26日~11月5日まで、嘉手納基地(沖縄県)の12機と新田原基地15機の計27機のF15が四国沖で戦闘訓練を実施する。訓練費は日本が75%、米国が25%負担する。

 防衛省はコロナの感染防止のため、密になる基地内宿泊は難しいとの認識だ。基地内の宿舎はコロナに罹患(りかん)した米兵らの濃厚接触者の隔離施設にするという姿勢は変えていない。

 県や市は、米兵のコロナ感染が疑われた場合、米軍から検体提供を受け、PCR検査を実施。感染が確認されたときは嘉手納基地に帰還させ、行動歴なども通知することを明らかにした。しかし、陽性反応者への聞き取りは米側医師が担当するという。

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 基地外宿泊は前例がある。防衛省によると、8月に空自千歳基地(北海道)であった日米共同訓練でも米兵約200人がホテルに泊まった。

 米兵のコロナ対応も含め、防衛省の情報開示の在り方が問われている今回の訓練。「戦闘訓練のほかに『宿泊訓練』を行っている可能性がある」と語るのは長崎県佐世保市で在日米軍の監視を続ける市民団体「リムピース」編集委員で長崎大非常勤講師の篠崎正人さん(73)。

 篠崎さんは「米軍が有事の際、ホテルを利用するために、宿泊予約法などの手続きの流れや周辺自治体の反応、基地への移動法などを調べる訓練ではないか」と指摘。「日米地位協定などで相互協力がうたわれている以上、基地外宿泊は常態化する可能性があり、宮崎だけの問題ではない」と話している。 (佐伯浩之、湯之前八州)

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