「グレート・ギャツビーを追え」ジョン・グリシャム著

西日本新聞 鶴丸 哲雄

 誰か訳してくれぬかと思っていたグリシャムの最新作。その訳者が村上春樹とは-。「グリシャムの話題作×村上春樹の翻訳=最強の文芸ミステリー」と大仰な帯の文句も首肯できる。謹呈本の書架から奪い取り、一気読みした。

 あとがきによると、村上が原作を手にしたのはポーランド旅行中、ふらりと入ったクラクフの書店。時価2500万ドル(約26億円)のフィッツジェラルドの長編小説全5作の原稿が大学から盗まれた-との設定に飛びついたという。フィッツジェラルドやサリンジャーらの米国作家をこよなく愛し、名翻訳家でもある村上が、東欧の名もない書店でこの作品に巡り合ったことは、日本のグリシャムファンにとっても幸運だった。

 グリシャムといえばリーガルサスペンスだが、この作品に弁護士はほぼ登場しない。その代わりに本好きの興味をそそる描写が、いつものごとく満載である。(鶴丸哲雄)

「グレート・ギャツビーを追え」ジョン・グリシャム著(中央公論新社・1980円)

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