84歳母、見舞いたいけど…娘苦悩 病院でクラスター、面会できず

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

 熊本県内の病院で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した阿蘇市の阿蘇やまなみ病院。母親(84)が入院しているという姉妹は「母は大丈夫か」と気をもむ。病院近くの実家で暮らす父親(91)も心配だ。感染が広がらないよう、気をもむ日々が続いている。

 母は熊本地震直前の2016年4月から入院し、父が見舞いに通っていた。両親とも高齢なため、東京にいる長女(59)、熊本市で暮らす次女(57)も時々訪れ、生活を支援していた。

 しかし、県内1例目のコロナ感染が確認された今年2月以降、同病院では面会が1階ロビーでの10分間に制限され、やがて禁止された。制限が緩和され、母親と娘たちが最後に話したのは8月の盆前、パソコンなどを使ったリモート面会だった。母親は「夏服がほしい」と話し、娘たちは「みんな元気だからね。お母さんも寂しいけど、頑張ってね」と語りかけた。長女は「行きたくても行けない、父は大丈夫だ、ということを伝えたかった」と振り返る。

 長女は先日、厚手の下着などを病院入り口に届けたが、東京から来ているだけに、気兼ねもある。病院の対応は、東京に比べても厳格だったという。

 今月21日に入院患者の感染確認後、娘には病院から電話で連絡が入るが、母親がPCR検査を受けたのかどうか、知らされていない。車椅子を使う母親は介助が必要なため、人との接触が避けられない。不安は募るが「知らせがないのが、元気な知らせ」と受け止めている。

 一方、娘たちにとって父親も心配だ。肺が弱く、インフルエンザの予防接種を予約していたが、感染拡大に伴いキャンセルした。家にこもり、庭を散歩して気を晴らしているという。

 娘たちは「高齢の両親にとって、どんな選択と支援がいいのか」と、悩ましそうだった。

(佐藤倫之)

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