愛され半世紀…名物弁当店が閉店 75歳店主「お客様に支えられた」

西日本新聞 北九州版 古瀬 哲裕

 北九州市若松区で半世紀近く住民たちに愛されてきた弁当店「味のくぼた」が17日に閉店した。低価格で家庭的な味付けが人気で、若松以外の北九州市内からも配達の注文が少なくなかった。店主の久保田京子さん(75)は、二人三脚で店を切り盛りしてきた夫の三男さん(享年79)を2年前に亡くした。それでも2022年に「50周年を迎えた店を夫に見てもらいたい」と店に立ち続けたが、体調などを考えて店じまいすることにした。久保田さんは「残念でならない」と話している。

 開業は1972年。はじめは総菜店だった。「夜通しジャガイモを湯がいたり、コロッケを作ったりした」。3年ほどで現在の場所に移転。ボリューム満点、野菜も豊富な手作り弁当は地元だけでなく、区内外の行事への仕出しも多かった。

 2年前に三男さんが死去し、新型コロナウイルス禍で客が減っても店を続ける気構えだった。だが昨年、膝の手術を受けて体調に不安を感じるようになり、三男さんなしで営業をする負担も大きく、決断に至ったという。

 営業最終日。久保田さんはいつも通り六つのこんろが並ぶ調理場で大きな鍋を火に掛け、フライパンを振った。常連客が訪れるたび言葉を交わし、深々とおじぎしてあいさつ。ねぎらいの花束を手渡す人もいた。

 同僚と毎週のようにお弁当を配達してもらった同区畠田の会社員大橋俊哉さん(37)は「今日は会社は休みだが、最後にもう一度食べたいと思って」と、別れを惜しんでいた。

 久保田さんは「コロッケを食べていた子どもが大人になったり、お客様の人生相談があったり、弁当だけでない人情があった。本当に良いお客様に支えてもらいました」と話した。 (古瀬哲裕)

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