「ぼく」(小学3年)のとうさんは市の清掃車で仕事をしています…

西日本新聞 オピニオン面

 「ぼく」(小学3年)のとうさんは市の清掃車で仕事をしています。「わたし」(小学4年)のおかあちゃんは居酒屋で働きながら、わたしと弟を育てています

▼二つの話を収めた「ぼくのとうさん わたしのおかあちゃん」(作・さくら文葉、フロネーシス桜蔭社)が出版された

▼東京で同社を経営する石川文子さんが、随分前に三重県で小学生たちの日記風の詩集を手がけたときに知った詩が忘れられず、ペンネームで物語にした。教科書会社に勤めたあと独立して20年の節目の仕事にした

▼物語の中の「ぼく」は、ゴミと闘うとうさんをウルトラマンのようだと思う。でもクラスのいじめっこは、かっこ悪いと思い、ゴミやと呼ぶ。「わたし」は「おまえんとこのおばさん、ティッシュを配ってたでぇ」などといわれる

▼とうさんがいじめっこに言った言葉がこの本を包んでいる。「スポーツ選手のような、かっこいい仕事はあるかもしれないけど、かっこ悪い仕事なんて、ないんだよ」。いろんな仕事で私たちの社会はつくられている。いじめっこはとうさんと「男のやくそく」を交わす仲になる

▼「わたし」のおかあちゃんは以前はスーパーで働いていた。「もっと稼がないと」と勤めを替えた。子ども2人を不安にさせる出来事も起きるが、仏壇の写真のおとうちゃんもニッコリのエピローグ付きで語られる。秋の夜長の友だちにこんな本も加えたい。

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