休校で1日8時間“テレワーク”の高校生 手腕認められ有給のインターン

西日本新聞 くらし面 四宮 淳平

「コロナ禍の子」(3)インターン

 全国の学校が長期休校になった今春、高校2年に進級した上野貴映之(たかゆき)さん(16)=福岡市=は自宅で「テレワーク」をしていた。愛用するのは、貯金をはたいて購入したばかりのノート型パソコン。画面に並ぶ数字やアルファベットを見ながら、キーボード上に指を走らせた。

 作成していたのはインターン先の企業(福岡市)から依頼された、ウェブサイトの表示内容を変更するプログラム。作業では、一つのプログラムを複数人で共有し、それぞれで組むことができる専用ツールを使った。完了すればこのツールで通知を送り、さらなる改善点を見つければメッセージで補足した。

 企業とは高校入学前、プログラミングの勉強会で知り合った。インターンに費やすのは1日8時間。求められる技術も、果たす役割も社会人に遜色はない。手がけたサイトは格段に閲覧しやすくなったと思う。

 プログラミングにのめり込むようになったのは、中1のときにパソコンを買ってもらってから。市販の入門書をめくり、分からない部分はネットで検索した。

 これまでに災害情報を発信するプログラムを独自に作成。インターネットを通じて知り合った友人6、7人と、どんな情報が役立つのか話し合い、プログラムは1人で書き上げた。災害情報を地図上に表示するソフトは無料公開した。

 このほか、地震の発生場所や時刻、震度などの情報をネット上から拾い上げ、自動で文章を構成してツイッターで発信するシステムも開発した。フォロワー数は約1900人。こうした手腕が認められ、有給のインターンにつながった。

 中学時代は教室に足が向かなくなり、進学先に選んだのは通信制のつくば開成福岡高(同市)。全日制と比べるとカリキュラム編成は柔軟で、大学進学を目指す上野さんは毎日、登校して学習するようになった。

 長期休校が明けると、母校の当仁中(同市)にも顔を出した。同中では、不登校の生徒を地域住民や大学院生が昼と夜に支援するスクールが週に1回ずつ開かれており、上野さんは卒業後もほぼ毎回、夜のスクールに参加していた。

 そこでは、不登校の生徒向けにオンライン学習を行う際のルール作りにも参加した。教員からは「制服の着用」「飲食の制限」という意見も出たが、上野さんは自らの経験を踏まえ、「行きたくない学校を連想する制服は着なくていいのでは」「無駄に厳しいルールはやめましょう」と提案。結果的に私服で参加でき、水分補給は可能になった。

 上野さんは10項目のルールを1枚の紙にまとめ、オンライン学習に使うビデオ会議システムの取り扱いマニュアルを添えた。

 今夏、インターン先をITベンチャーのJX通信社(東京)に変更した。知人の紹介で面接を受けると、即戦力として採用が決まる。以前の企業は新型コロナウイルスの影響で事業を縮小したため人手がだぶついたらしく、「辞めてほしい」と言われた。

 9月には、プログラミング業界で知り合った友人に会うため、JRの普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」で静岡県に行った。2泊3日の予定だったが、台風10号の接近で九州の交通網がまひし、帰路が遮断された。

 「どうせ帰れないなら」。18きっぷと新幹線を使って向かったのは関東。追加の2泊分は「Go To トラベル」が適用される宿泊プランを使った。街並みを眺めつつ、初めて通信社に出社。ネットを通じてやりとりをしている最高技術責任者(CTO)たちとランチに繰り出し、カレーをおごってもらった。

 帰路は東京から福岡まで飛行機で飛んだ。航空運賃は高かったが、4泊5日の旅費は全てインターンで稼いだ。「東京で働くって面白そう」。そんな考えも頭をよぎる。

 (編集委員・四宮淳平)

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