【動画あり】「高志狂言」地域で守り継ぐ 保存会の3人で上演

西日本新聞 佐賀版 北島 剛

 田園広がる佐賀県神埼市千代田町の高志(たかし)地区に、約250年前から受け継がれる狂言がある。県重要無形民俗文化財の「高志狂言」。毎年10月、高志神社の秋祭りに合わせて奉納される。

 今月2日、神社境内の公民館では「高志狂言保存会」の井手敏さん(73)、島信秀さん(72)、島克也さん(54)が本番に向け練習していた。今年の演目は「太刀奪(たちうばい)」。主人の刀を借りて通行人から太刀を奪おうとした太郎冠者(かじゃ)が逆に刀を奪われ、主人と2人で取り返そうとするも失敗する-という筋書きだ。主人役を井手さん、太郎冠者役を信秀さん、通行人のすっぱ役を克也さんが演じる。現メンバーで挑む初の演目で、今年1月から週2回の練習を重ねてきた。

 高志狂言は、他に新潟県佐渡市と山口市にしかない「鷺(さぎ)流」の流れをくみ、高志地区の人だけで伝承している。「先生がいないので映像が頼り」と信秀さん。昔は口伝で受け継いできたが、今は先輩が書き残した台本やビデオ映像を参考にしている。

 克也さんは演じ始めて4年目。「おやじもしよったので、自分もしようかなと思って始めた。50歳からせりふを覚えるのは大変」と語る。約30戸しかない高志地区で、イベントなどに出演できるのは現在この3人だけ。担い手不足に直面している。信秀さんは「人に言わせれば物好きだけど、誰かがやらないといけないという使命感を持ってやっている」と自負する。

 今月10日の秋祭り当日。神社の能舞台ではまず、千代田中部小高志狂言クラブの6年生女子3人が「部須(ぶす)」を披露。3人は「緊張したけど楽しかった」と笑顔を見せた。

 続いて保存会3人の出番。男を縄にかけようと太郎冠者が「これへ首を入れい、首を入れい」と首を差し出すように促すと、男を後ろから押さえる主人が「誰がそれに首を入れるものか」と返す。独特の言い回しや滑稽な動きが観客の笑いを誘う。20分間演じきると拍手が起こった。

 終演後、3人はほっとした表情を見せた。井手さんは「来年はまた新しい演目をやります」と意欲を示していた。

 (北島剛)

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