「胸を張れる父親でいたい」46歳の競輪選手、シングルマザー支援

西日本新聞 北九州版 壇 知里

 北九州市小倉南区の競輪選手、木谷凉さん(46)がシングルマザーの支援活動に取り組んでいる。不安定な競輪の収入で妻と子ども4人を養うため余裕のある生活ではないが、「スポーツ選手として誰かの役に立ちたい。自分が一番納得のいくお金の使い方をしたい」との思いを果たした。支援の財源となっているのは、動画投稿サイトユーチューブ」での副業収入だ。

 25日、戸畑区のウェルとばたに集まった子供たちの前に、ハロウィーンに合わせて仮装した木谷さんが現れた。一般財団法人「北九州市母子寡婦福祉会」による母子家庭などへの支援活動で、食材とお菓子を無料で配っている。木谷さんもお菓子を配って回りながら、仮装姿で「一緒に写真を撮ろうよ」と子どもたちの笑顔を誘い、場を沸かせた。

 自身も母子家庭に生まれ、親戚や地域の人の協力で育った。「母が仕事のときは近所の人が飯を食わせてくれた。同じように力になりたい」という。

 支援をしたい気持ちは30歳を過ぎた頃からあった。「スポーツ選手は誰かの役に立っているのか。感動を届けることができるのは一部のトップ選手にすぎない」。22歳でプロの競輪選手になったが盛りを過ぎ、選手としての存在意義を考えるようになった。何度か寄付もしてみたが、収入はレースの勝敗によるため不安定で、継続的にやるのは難しいと感じた。

 昨年12月にプロ野球のダルビッシュ有選手のユーチューブ動画を見た。個人アカウントの広告収入をシングルマザー支援の団体に寄付していた。同9月にトレーニングの様子や食生活などを公開するアカウントを開設したばかりの木谷さんは「これなら自分もできる」と思い立った。

 ユーチューブの登録者数は現在、約6190人。3月から広告収入が入るようになり、翌月から支援活動を始めた。「どんな選手も人の役に立てるんだよと家族にも胸を張れる父親でいたい」と、活動に大学生の息子を連れて行くこともある。

 3年前に全治1年半の大けがを骨盤に負い、競技人生に不安も感じていたが、身近な人の力になり「ありがとう」と言われることで自分の競技のモチベーションにもつながっていると感じている。木谷さんは「プロ選手にもいろんな働き方ができる。競輪選手が憧れの職業になるよう、今後もたくさん活動して発信していきたい」と話した。 (壇知里)

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