サンマ定食恋しい秋 不漁続きで仕入れ価格高騰 提供断念の店も

西日本新聞 社会面 小林 稔子

 秋の味覚サンマの不漁と価格高騰により、九州ではサンマ料理の提供を断念する定食屋が出ている。業界団体によると、今年の水揚げ量は大不漁だった昨年より、現時点でさらに少ないという。「今年はサンマの量も質も確保が難しい」。新型コロナ禍で苦境に立っている店にとって、仕入れ価格の高騰は死活問題だ。

 福岡市・天神地区にある「天神 わっぱ定食堂」。入り口には、新サンマの提供断念を知らせる張り紙が出ている。一昨年は980円で定食を提供していた。高級路線の系列店は今年も提供しているが、千円以下で味わってもらうこの店では量の確保だけでなく仕入れ価格の高騰は痛い。不漁だった昨年に続き、提供断念を決断した。

 客からはさみしがる声が聞かれる。野副正一朗店長は「いいサンマを安定的に確保できない。提供するからには、味も値段も喜んでもらわないと」と話す。

 ある百貨店の鮮魚コーナーには、パックされた生サンマが並ぶ。しかし、買い物客は2匹で798円の高値に渋い表情だ。2割引きのシールが貼られてはいるが、50代の主婦は「昔はもっと気軽に買えた。もう少し安ければ買うのに」とこぼした。

 全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)によると、昨年の水揚げ量は過去最低の4万517トン。今年も1日数十トンから数百トンと不漁の日々が続く。最近は千トン取れた日もあったが、状況は不透明だ。

 「博多の台所」と称される福岡市中央区の柳橋連合市場。ここに店を構える鮮魚店「船津商店」の船津豊次さん(72)は、漁獲量の変化を肌で感じている。船津商店には料理店などが買い付けに来る。不漁だった昨年は、刺し身用のサンマを1匹600円前後で販売。今年は1匹700円ほどで売る時期もあったという。

 一方、価格帯が千円を超す店では提供しているケースも。21日、福岡市・天神の「味の正福 アクロス店」を訪ねると、生サンマの塩焼き定食を1760円で味わえた。仕入れるかどうかは日による。26日はサンマの状態が良くなく、提供を見送った。店代表は「仕入れ価格は年々高騰しており、これでもしんどい」とため息をつく。 (小林稔子)

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