【動画あり】施設出身3人の動画、静かな人気 「社会的養護」ポジティブに発信

西日本新聞 社会面 久 知邦

 親元で暮らせない子どもを公的責任で養育する「社会的養護」を知ってもらおうと、児童養護施設で育った男女3人が動画投稿サイトユーチューブ」にアップしている番組が静かな人気だ。軽妙なトークや明るい演出で「超お気楽な情報発信番組」とPRするなど、重いテーマでも視聴しやすくしているのが特徴。活動開始から1年、大学の授業にも活用され始めた。

 「こんにちはー、スリーフラッグスでーす」

 14日、東京の民家で和やかに撮影が行われていた。3人は映像作家の西坂来人さん(34)とモデルのブローハン聡さん(28)、社会的養護出身者を支援する団体の代表山本昌子さん(27)。施設で育った人たちの集まりで知り合い「社会的養護をポジティブに発信したい」と意気投合。「THREE FLAGS(スリーフラッグス)」を結成、昨秋に配信を始めた。

 この日のテーマは、親に代わって子どもを養育する「里親」。国の資料を基に制度を紹介し、3人が思い思いの疑問や感想を口にする。「里親登録数より委託されている子どもの数が少ないのは何で?」「里子が原則18歳で外に出なきゃいけないと知ったのは衝撃」-。友達同士でおしゃべりしているような雰囲気だ。

 これまでに配信した動画は30本以上、再生回数は月1万回を超えた。虐待や育児放棄(ネグレクト)を受けた自身の体験を話すだけではなく、施設や里親家庭で育った人をゲストに招き、社会に出た後の生きづらさなど生の声を伝えている。相談事業を担う福岡市のNPO法人「そだちの樹」などを取材し、支援に関わる人たちの思いも届ける。

 動画は、児童相談所の研修や大学の授業にも使われている。動画を活用する明治学院大の三輪清子専任講師(児童福祉)は「3人は体験を客観視しており、感情移入しすぎずに見ることができる。考えるきっかけをくれる」と話す。

 生きづらさを抱え、動画を見たのをきっかけに支援を受けられるようになった人もいるという。リーダーの西坂さんは「虐待事件は、親を責めるだけでは解決しない。自分ごととして捉え、困っている子どもや親に手を差し伸べてもらえるよう、少しでも心に引っかかるものを発信したい」と語る。 (久知邦)

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