菅首相「取りまとめる」所信表明 現実路線が鮮明に AI分析で判明

西日本新聞 総合面 前田 倫之

 菅義偉首相の所信表明演説は、どんな「言葉」に重きが置かれたのか-。7年8カ月に及んだ第2次政権時代の安倍晋三前首相の演説と比較しながら、人工知能(AI)と識者に読み解いてもらった。

 活用したのは、ベンチャー企業「ユーザーローカル」(東京)が提供する「AIテキストマイニング」。26日の菅首相の演説と、安倍前首相の所信表明演説、施政方針演説の計15回分について文章を名詞や動詞などに分解し、使用頻度や特徴を分析した。

 菅首相に目立ったのは、最大の課題である「新型コロナウイルス」をはじめ、「デジタル化」「グリーン」「取りまとめる」「講じる」など、現実、具体的な政策や意欲を端的に表す言葉だ。落語家で「政治ウオッチャー」でもある立川談四楼さんは「実務家らしく、菅さんは大風呂敷を広げなかった。隙がないね」。

 安倍前首相は対照的で、「世界」「日本」「切り開く」「超える」など国家観と理想主義がにじむ表現が多く、「安倍さんの方がまだ、ロマンや希望は感じた」。

 立川さんは、菅首相が日本学術会議の会員候補の任命拒否問題に触れなかったことについては「『うまく逃げ切ってみせるから見ていなさい』とでも言わんばかりだね」と皮肉った。

 「菅さんは、主観が反映されやすい形容詞をあまり使わない」と評したのは、「メディアと自民党」などの著書がある東京工業大の西田亮介准教授(社会学)。安倍前首相が「『美しい』などの形容詞を多用して保守層にリップサービスしてきた」とした一方で、菅首相の戦略を「イデオロギーが見えにくい。裏返せば、携帯料金値下げなどで国民の幅広い層を意識して語っている」と指摘した。 (前田倫之)

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